日本胸部疾患学会雑誌
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経気管支肺生検によるサルコイドーシス類上皮細胞肉芽腫の評価
とくに活動性と予後との関連について
鈴木 栄一
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1992 年 30 巻 4 号 p. 627-637

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抄録

経気管支肺生検で得られたサルコイドーシス155例の565検体について, 類上皮細胞肉芽腫を光顕的に hypertrophic, atrophic, hyalinofibrous の3亜型に分類した. 胸部X線上肺野病変のある例は, 肉芽腫陽性率が高いとともに肉芽腫数が多く, その亜型では, hyalinofibrous な肉芽腫が有意に多くみられた. また, 周囲の線維化や癒合傾向も高度だった. Gaシンチの肺野集積および血清ACE値は, 肉芽腫数を反映していた. 一方, 気管支肺胞洗浄液細胞成分の所見は, 肉芽腫数と関連せず, リンパ球数は hypertrophic な肉芽腫の群で有意に高く, CD4/CD8比は hyalinofibrous な肉芽腫の群で有意に低値だった. 肉芽腫数と胸部X線の推移は関連せず, I期では, atrophic な肉芽腫の群が, 2年以降で0期への移行率が有意に高く, II+III期では, hyalinofibrous な肉芽腫の群で, 肺野病変が残存する傾向がみられた. 経過中肺野病変が出現した例では, 全例 hypertrophic な肉芽腫がみられた.

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