日本胸部疾患学会雑誌
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睡眠時肺血管外水分量増加を伴った閉塞型睡眠時無呼吸症候群の1例
藤内 智松本 博之長内 忍中野 均秋葉 裕二森田 一豊辻 忠克今本 哲郎小野寺 壮吉
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1992 年 30 巻 4 号 p. 638-642

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抄録

57歳の男性. 日中の眠気および作業能力の低下, 夜間の頻回の覚醒などの睡眠障害を主訴に当科を受診した. 終夜ポリソムノグラフィーでは無呼吸指数 (Apnea Index) 40.1/hrで閉塞型が86%を占め, 閉塞型睡眠時無呼吸症候群 (SAS) と診断した. 夜間睡眠時の血行動態および心筋負荷状態の把握のため睡眠時201Tlシンチグラフィーを行ったところ肺野集積を認めた. そのメカニズムの解明を目的に睡眠時の肺血管外水分量を測定したところ無呼吸の発生とともに肺血管外水分量は増加しており, 閉塞型無呼吸による胸腔内圧の変化が肺間質水分増加を引き起こしたと考えられた. 臨床的に無症候の肺間質水分増加の存在が合併症の発生や長期予後に与える影響は今のところ不明であり, 今後の検討が必要と考えられる.

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