日本胸部疾患学会雑誌
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小細胞肺癌の病期分類の検討 -同側胸水例の取り扱いについて-
大森 久紀松井 薫中川 和彦益田 典幸瀧藤 伸英伊藤 和信工藤 新三楠 洋子高田 実根来 俊一福岡 正博
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1992 年 30 巻 6 号 p. 1085-1090

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抄録

1982年11月より1990年6月の間に治療を行った小細胞肺癌184例のうち, 遠隔転移のない同側胸水例 (PL) 18例について, 生存期間, 治療効果を limited disease (LD) 82例および Extensive disease (ED) 84例と比較検討した. Median survival time (MST) は, PL群, LD群, ED群でそれぞれ51週, 51週, 34週であり, Generalyzed wilcoxon test を用いた解析ではPL群の生存期間はED群と比較して有意に長く (p<0.05), LD群との間には有意差を認めなかった. 治療効果については, x2検定でPL群, LD群, ED群の間に差を認めなかった. また Cox の比例ハザードモデルを用いた重回帰分析による多変量解析を行ったが, PLはLDに対して有意な予後因子にならなかったことから, PL群をLDに含めるべきであるとした1989年 International Association for the Study of Lung Cancer Workshop の consensus は予後に関しては妥当であると考えた.

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