日本胸部疾患学会雑誌
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30 巻, 6 号
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  • 於保 健吉, 正岡 昭
    1992 年 30 巻 6 号 p. 989-1041
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 小林 秀一, 西村 正治, 山本 真, 秋山 也寸史, 宮本 顕二, 川上 義和
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1042-1049
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    健常成人38名を対象に吸気粘性抵抗負荷前後で高炭酸ガス換気応答検査を行い, その際 Visual Analog Scale により呼吸困難感を評価させた. また矢田部-ギルフォードテスト及び顕在性不安検査を行い, 呼吸困難感を介めた呼吸調節における被験者の性格及び顕在性不安感の役割について検討した. 被験者の性格と高炭酸ガス換気応答値との関係について, 男性群では社会的外向性, 女性群で情緒不安定性と換気応答値との間に正相関が示された. 吸気粘性抵抗負荷時には, 女性群でのみ情緒不安定性と換気応答値との間に正相関が示された. 一方検査に伴う呼吸困難感については特定の性格との相関は認められなかった. しかし男性群において, 被験者の顕在性不安感が呼吸困難感の大きさに寄与する可能性が示された. また換気量を基準に評価した呼吸困難感と換気応答値との間に負相関が認められ, 高炭酸ガス換気応答検査における高位中枢の関与の可能性が示された.
  • 永井 厚志, 石原 陽子, 滝沢 敬夫
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1050-1055
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    喫煙者における末梢白血球数, および白血球数に関連する血清成分としての補体, 抗プロテインナーゼ値, 気管支肺胞洗浄液中の好中球についての検討を行った. 喫煙者においては末梢白血球数は喫煙量 (喫煙年数, 1日の喫煙本数) に従い増加する傾向を示した. この傾向は, 年階層別, 性別の検討においても変わらなかった. 喫煙者における血清補体価 (CH50, C3a) や抗プロテインナーゼ (α1-アンチトリプシン, α2-グロブリン) は, 非喫煙者と同様の値を示した. 白血球分画は, 喫煙者と非喫煙者で差は認められなかった. 肺胞内好中球数は, 末梢好中球数とは関係なく様々の分布を示した. 以上より, 喫煙は年齢・性別に関わりなく, 量依存性に末梢白血球の増加をもたらすことが知られた. 肺への好中球 recruiment の個体差は, 肺の易傷害性と関係しているかもしれない.
  • 千住 玲子
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1056-1062
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    臨床的にびまん性汎細気管支炎が疑われた14例に, 診断確定のために開胸肺生検を行った. これら14例のうち, 病理組織学的には11例でびまん性汎細気管支炎に合併する所見が認められたが, 3例では本疾患の定型的な所見が認められなかった. びまん性汎細気管支炎の疑診例 (主要項目すべてが揃っていない例) においても, 組織学的には本疾患である症例があり, 一部に慢性細気管支炎の症例が混在していた. また主要臨床項目をすべて満足していても, 組織学的には本疾患と診断できない症例もあり, その臨床診断の手引きの満足度と組織学的所見とは, 必ずしも平行しなかった.
  • 大瀬 寛高, 野村 明広, 亀山 昌明, 二宮 浩樹, 早乙女 幹朗, 遠藤 健夫, 濱田 雅史, 渡辺 東, 内田 義之, 長谷川 鎮雄
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1063-1071
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    エンドセリン-1 (ET-1) は, 強力な気道平滑筋収縮活性を有しているが, その代謝に関しての報告は少ない. 今回我々は, ET-1による気道収縮に及ぼすエンケファリナーゼ阻害剤であるホスホラミドンの影響をモルモットを用いて検討した. モルモット摘出気管切片のET-1に対する収縮反応は, ホスホラミドン添加群において有意に増強した. 小動物用体プレチスモグラフを用いたET-1の吸入実験では, ホスホラミドン前吸入群の specific airway conductance (sGaw) は対照群に比して有意な低下を示した. 更に, モルモット肺実質切片との incubation でET-1は分解されたが, ホスホラミドンはこの反応を抑制した. 以上よリエンケファリナーゼは, モルモット気道においてET-1の分解に関与している可能性が示唆され, 気道上皮の障害などのエンケファリナーゼが減少するような際には, ET-1による気道収縮が増強している可能性もあることが推察された.
  • 濱田 薫, 西川 潔, 阿児 博文, 森井 武志, 国松 幹和, 長 澄人, 徳山 猛, 成田 亘啓
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1072-1076
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    好酸球性肺炎10例から得られたTBLB標本16検体を対象とし, 肺組織局所に浸潤する好酸球を免疫組織学的に検討した. その結果浸潤好酸球のほとんど全てが, 分泌型 Eosinophil Cationic Protein に対するモノクローナル抗体EG2陽性の活性化好酸球であり, 脱顕粒も認められた. また一部の検討した症例のBALF中にもEG2陽性細胞が認められ, さらにBALF中ECP値は高値であった. 対照として検討した Bleb 縫縮肺切除標本の組織浸潤好酸球中EG2陽性細胞は有意に少数であった. 以上から好酸球性肺炎の病態における活性化好酸球の関与が示唆された.
  • 新実 彰男, 網谷 良一, 松井 保憲, 杉田 孝和, 鈴木 雄二郎, 西山 秀樹, 前川 暢夫, 倉澤 卓也, 川合 満, 久世 文幸
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1077-1084
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1979年 Corrao らは, 慢性咳嗽を唯一の症状とし気道過敏性亢進を伴い気管支拡張剤が奏効した6症例を喘息の variant form として報告し, Cough variant asthma (CVA) の概念を提唱した. CVAの臨床像を明らかにする目的で, 我々は自験14症例を検討した. 1) 多くの例は atopic と考えられた. 2) 咳嗽は夜間~早朝に好発する例が多いが2例では昼間にのみ認めた. 3) 肺機能上殆どの例で末梢気道閉塞が示唆された. 4) アストグラフでの気道感受性・反応性は喘鳴を伴う典型的な喘息 (WA) と差がなかった. 5) 喀痰を採取し得た6例中5例で著明な喀痰中好酸球増多を認めた. 6) 後に5例がWAに移行した. 咳嗽好発時間, WAへの移行の有無など, CVAの臨床像には多様性も存在するものの, 好酸球性気道炎症がCVAに共通の病態である可能性が強く示唆される. 治療的観点からは, 慢性咳嗽患者の診療に際しCVAを念頭に置くことは極めて重要である.
  • 大森 久紀, 松井 薫, 中川 和彦, 益田 典幸, 瀧藤 伸英, 伊藤 和信, 工藤 新三, 楠 洋子, 高田 実, 根来 俊一, 福岡 ...
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1085-1090
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1982年11月より1990年6月の間に治療を行った小細胞肺癌184例のうち, 遠隔転移のない同側胸水例 (PL) 18例について, 生存期間, 治療効果を limited disease (LD) 82例および Extensive disease (ED) 84例と比較検討した. Median survival time (MST) は, PL群, LD群, ED群でそれぞれ51週, 51週, 34週であり, Generalyzed wilcoxon test を用いた解析ではPL群の生存期間はED群と比較して有意に長く (p<0.05), LD群との間には有意差を認めなかった. 治療効果については, x2検定でPL群, LD群, ED群の間に差を認めなかった. また Cox の比例ハザードモデルを用いた重回帰分析による多変量解析を行ったが, PLはLDに対して有意な予後因子にならなかったことから, PL群をLDに含めるべきであるとした1989年 International Association for the Study of Lung Cancer Workshop の consensus は予後に関しては妥当であると考えた.
  • 星 朗, 小林 淳, 北村 諭
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1091-1096
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    喘息発作におけるプロスタグランディン (PG) D2の役割をモルモットの摘出気管および肺切片を使用した in vitro と卵白アルブミンで感作したモルモットの喘息モデルを使用した in vivo の両面から検討した. in vitro の系ではPGD2は気管と肺の両切片を用量依存性に収縮させ, さらにPGD2それ自体では収縮反応をほとんど惹起させない最大濃度 (25ng/ml) 持続投与下でアセチルコリンの収縮反応を有意に増強させ, アセチルコリンの気道に対する反応性を亢進させた. 喘息の実験モデルにおけるアナフィラキシー反応後のPGD2値は, 血清中, 気管支肺胞洗浄 (BAL) 液中および肺組織中で有意な上昇をきたした. 症状安定期の喘息患者のBAL液中のPGD2値が正常人と比較し有意に上昇したとの報告と合わせて, PGD2は喘息発作時にそれ自身の収縮作用に加え他のケミカルメディエーターの反応性を亢進させ発作誘発の key substance の一つとなり得る可能性が示唆された.
  • 柴山 卓夫, 大熨 泰亮, 上岡 博, 堀口 隆, 小谷 剛士, 畝川 芳彦, 前田 忠士, 宮武 和代, 瀧川 奈義夫, 木村 郁郎
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1097-1102
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺非小細胞癌126例を対象として血清NSE値を測定し, cut off 値を10ng/mlとして陽性率を検討したところ, 126例中29例 (23.0%) が陽性であった. 陽性率は組織型とは相関せず, 病期では, III期44例中9例 (20.5%), IV期71例中20例 (28.2%) と病期の進行とともに陽性率は増加した. 化学療法の効果が評価できた74症例のうち血清NSE陽性例は22例, 陰性例52例であったが, 陽性例の奏効率は50.0%, 陰性例では34.6%と, 陽性例が良好であった. 一方陽性例の奏効期間中央値は2.2ヵ月と, 陰性例の6.6ヵ月に比し有意に短く (p<0.05), 生存期間中央値も6.0ヵ月と陰性例の9.6ヵ月に比し短期間であった. すなわち血清NSE陽性例は, 化学療法に対する奏効率は良好であるが, 進展が早く予後は不良であると思われた. 抗NSE抗体による生検組織の免疫組織染色では, 血清NSE陽性例10例中3例が陽性に染色され, 血清NSE値の上昇は腫瘍組織中のNSE産生細胞による可能性が示唆された.
  • 町支 素子
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1103-1109
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    近年, 運動筋から放出されたKイオンにより筋肉疲労がおこることや, Kイオンが末梢化学受容器を直接刺激し, 換気応答を高め, この効果が低酸素により増強するという報告がなされ, 運動中に増加したKイオンが運動負荷の制限因子の1つになっている可能性が考えられる. そこで慢性肺疾患患者37例, 健常者9例を対象に, 運動負荷中の動脈血Kと運動時低酸素血症について検討した. 慢性肺疾患患者を最大負荷終了直後のPaO2によって2群 (I群: PaO2<55torr, II群: PaO2≥55torr) に分類し, 健常者を control 群とすると, 各群で動脈血Kは運動負荷中増加傾向を示し, I群ではII群や control 群に比べ有意に (p<0.05) 高値であった. I群II群では運動中のPaO2と動脈血Kの間に有意な負の相関 (r=0.3026: p<0.025) を認めた. 慢性肺疾患において運動中Kイオンの増加がPaO2レベルと関係があり, これが重要な運動制限因子の1つとなっていると考えられた.
  • 森田 理一郎, 赤荻 栄一, 三井 清文, 倉本 憲明, 鬼塚 正孝, 石川 成美
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1110-1115
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺癌による上大静脈症候群 (SVCS) をきたした症例のうち, 5例に上大静脈 (SVC) 内ステント留置術を行い, 内頸静脈一右心耳バイパス術を行った8例と比較検討した. SVCS緩解率・SVCS緩解期間・SVCS再発率・血栓閉塞率のいずれもステント群が優れていた. ステント群では, 全症例留置後直ちに狭窄部は拡張し, また3週後にSVC造影を行った3例では留置直後よりも更に拡張していることが確認でき, SVCSの治療に有効であった.
  • 松下 晴彦, 栗原 直嗣, 若山 公作, 藤本 繁夫, 金澤 博, 藤原 寛, 足立 規子, 平田 一人, 太田 勝康, 武田 忠直
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1116-1124
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者の呼吸困難感と呼吸筋機能に及ぼす酸素 (O2) 投与の効果について検討した. 対象はCOPD患者8例であり平均年齢64歳, 平均1秒量1.06Lである. 経横隔膜圧差 (Pdi) を食道胃バルーン法で, 横隔膜筋電図を食道電極を用い, 胸鎖乳突筋筋電図を針電極で測定した. 横隔膜筋電図のパワースペクトラムを求め高周波成分と低周波成分の比を横隔膜疲労の指標とした. 呼吸困難感の評価にボルグスケールを用いた. 負荷はトレッドミルによる多段階負荷法で, 20% O2吸入時と30% O2吸入時の2回行った. 30% O2吸入により同負荷量での呼吸困難は減少し, 横隔膜疲労が遅れて出現した. また中枢からの吸気筋全体へのドライブの減少が示唆され, さらに横隔膜以外の吸気筋の活動が相対的に減少していた. これらの事が呼吸困難の軽減と深く関連していると考えられ, 運動時の動脈血酸素飽和濃度の低下の軽い症例でもこのような効果を認めた.
  • 水城 まさみ, 美藤 恵子, 宮崎 英士, 津田 富康
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1125-1130
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ウェステルマン肺吸虫は従来より肺内結節を生じやすく, 咳嗽, 喀痰, 血痰を伴うといわれてきたが, 最近では, 宮崎肺吸虫と同様に気胸, 胸水貯留をきたす症例の報告が増えてきている. 肺以外の異所寄生としては胸膜, 腹膜, 心嚢, 肝, 副腎, 腹壁の皮下などが考えられているが, 皮下寄生の報告は意外に少ない. 当症例は68歳の男性で, サワガニ, モクズカニ, イノシシ肉などの明らかな食歴はないが, 腹壁の移動する皮下腫瘤を初発症状とし, 8ヵ月後に胸痛, 胸水貯留をきたした症例である. 免疫血清学的検査でウェステルマン肺吸虫症と診断した. 宮崎肺吸虫では本症例と類似した経過を示すものがあるが, ウェステルマン肺吸虫では稀と考えられる. 治療としてはプラジカンテルが著効した. ウェステルマン肺吸虫の人体内移行経路を明らかにする上で示唆を与える症例と考えられた.
  • 小山 弘, 西村 浩一, 北市 正則, 泉 孝英, 田村 康一, 人見 滋樹, 黒住 真史, 鈴木 康弘
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1131-1135
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    58歳男性で, 右肺上葉切除術を受けた肺標本の病理学的検討から甲状腺髄様癌に類似の組織像を示したアミロイド間質を伴うカルチノイドの1例を報告した. 肺腫痛は, エオジン好性の均一無構造な物質に隔てられた小さな腫瘍細胞巣を形成しながら増生する腫瘍細胞から構成されていた. グリメリウス染色では腫瘍細胞内に好銀性顆粒を認め, カルシトニン染色により腫瘍細胞の一部にカルシトニンを認めた. 電顕上, 肺腫瘍の間質にアミロイド細線維が認められた. 本症例は術後5年の経過観察でも甲状腺その他に異常を認めず, 肺原発と考えられた.
  • 村松 正嗣, 田村 尚亮, 土井 義之, 檀原 高, 植草 利公, 益田 貞彦, 貫和 敏博, 吉良 枝郎
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1136-1140
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は33歳の男性. 平成元年8月の検診で胸部X線写真上, 上縦隔陰影の拡大を指摘されたが, 自覚症状がないため放置していた. その後10月頃より乾性咳嗽が出現し, 持続するため, 精査目的で平成2年3月7日に当院に入院した. 右上中縦隔の良性腫瘤, 特に食道および気管支嚢腫等を疑い, 手術を施行した. 手術時, 嚢腫の下方より右側胸管が嚢腫内へ流入しているのが確認された. 嚢胞内腔は単層立方上皮で被われ, 肉眼的に胸管が嚢胞内に入り込んでいた部分の上皮は, 嚢胞上皮に連続性に移行していた. 嚢胞内容液は外観的には水様透明で, 正常リンパ液組成や報告例の組成に比して, 蛋白質, コレステロール等は低値を示した. リンパ管嚢腫の起源については多くの説があるが, 本例では右側胸管からの起源であることが示唆された.
  • 永井 英明, 米田 良蔵, 穴戸 春美, 倉島 篤行, 毛利 昌史, 蛇沢 晶
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1141-1145
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    42歳, 男性. 著明な肺線維化による右心不全で入院. 酸素吸入, 利尿剤投与にて一時改善傾向を示していたが, 入院1ヵ月後に急性増悪を呈し, パルス療法を施行. 下顎歯の脱落, 下顎の萎縮を伴い, 骨シンチで多発性に deposit を認めたため, 症状の安定した時期に脛骨の骨生検を行い Hand-Schüller-Christian 病 (HSC) と診断された. BALF細胞中に, OKT6陽性細胞を16.1%認め, 肺の線維化もHSCによるものと考えられた. その後自然気胸を合併したが治癒し, 現在は無治療で安定し, 労作時にのみ酸素吸入をしている.
  • 増本 英男, 須山 尚史, 荒木 潤, 浅井 貞宏, 南 寛行, 池野 雄二
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1146-1151
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    血痰を主訴とし, 組織上BOOP所見に肉芽腫や異物型巨細胞を伴った間質性肺炎の1例を報告した. 症例は66歳, 男性. 10ヵ月前より咳嗽が, 5ヵ月前より血痰が出現し増強してきたため, 1990年1月当科初診. 炎症反応はなく, 胸部CTで右下葉に限局した粒状影と気管支の軽度拡張がみられた. 陰影は左下葉にも広がってきたが, 入院直後より血痰や異常影は改善してきた. TBLB及び開胸肺生検で胞隔炎, 細気管支および肺胞腔内の器質化滲出物, 泡沫細胞の集族, 肉芽腫, 異物型巨細胞と共に気管支拡張像などがみられ, 血痰の原因としては気管支拡張症に随伴した炎症が考えられた. プレドニゾロンで治療開始し, 陰影は線維化陰影を残し消失した. 現在再発は認めず, その後のBAL所見ではリンパ球の減少とCD4/CD8の上昇がみられた. 自験例は特発性BOOPと過敏性肺臓炎との関係を考える上で非常に興味深い症例と思われた.
  • 大崎 純三, 中野 均, 松本 博之, 山崎 泰宏, 酒井 博司, 辻 忠克, 大崎 能伸, 藤兼 俊明, 佐々木 信博, 小野寺 壮吉
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1152-1157
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    過敏性肺炎に両側肺門リンパ節腫脹 (BHL) がみられるとした報告は少ない. 今回, われわれは胸部X線写真上, BHLを伴った加湿器による過敏性肺炎の1例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性. 昭和57年より毎年冬になると加湿器を使用していた. その頃から乾性咳嗽, 息切れが出現したが春には軽快した. 昭和62年2月, 乾性咳嗽, 息切れを主訴に当科へ入院した. 胸部X線写真上, BHLと両側肺野のびまん性スリガラス様陰影を呈し, 呼吸機能検査では拡散障害を認めた. 経気管支肺生検では間質性肺炎の組織像を呈し, 縦隔鏡によるリンパ節生検では非乾酪性肉芽腫はみられず, リンパ洞の過形成と組織球の増加を認めた. 加湿器使用による曝露試験が陽性でBHLを伴った加湿器肺と診断した.
  • 白井 敏博, 佐藤 篤彦, 谷口 正実, 妹川 史朗, 中澤 浩二, 福本 義裕, 西山 照正, 高山 真一
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1158-1164
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は呼吸器症状のない40歳女性で, 胸部検診で異常陰影を指摘され精査目的にて入院した. 胸部X線写真で, 右側の肺血管影の減少と肋間腔の狭小化, 横隔膜の挙上, および縦隔の右方偏位を認めた. 右肺野には不鮮明で融合傾向を有する小粒状影が散布し, 左肺は気腫性変化により透過性が亢進し, 右胸郭内へのヘルニアも伴っていた. 肺血流シンチで右肺血流は認められず, 換気シンチでは両側一様に換気されていた. また, 気管支造影所見はほぼ正常であった. 心臓カテーテル検査を施行したところ, 肺動脈圧は正常であったが, 肺動脈造影で右肺動脈が完全に欠損し, 他に心大血管奇形を合併しないことから孤立性右肺動脈欠損症と確定診断した. 大動脈造影では気管支動脈, 下横隔膜動脈, 右冠動脈からの側副血行路が確認された. また, 胸部CTでは患側肺に嚢胞性変化が認められた.
  • 近藤 康博, 滝 文男, 安藤 守秀, 生田 順也, 松本 浩平, 田中 斉, 鈴木 隆二郎, 山木 健市, 高木 健三, 河端 美則, K ...
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1165-1170
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は56歳, 男性, 会社員. 慢性関節リウマチ (以下RA) に対してアザチオプリン使用中に労作時呼吸困難, 発熱, 右胸痛が出現し来院. 胸部レ線上, 両下肺野に間質性陰影と右胸水を認めた. 各種抗生物質に反応せず開胸肺生検を施行した. 病理所見は間質炎優位の Bronchiolitis obliterans organizing pneumonia (以下BOOP) の所見であり, 臨床経過等よりアザチオプリンによる薬剤性肺炎の可能性は否定的と考え, RAに伴うBOOPと診断した. 生検後よりステロイドパルス療法を2回施行し, さらにプレドニゾロン40mg/dayを投与するも改善が乏しいためサイクロフォスファマイド50mg/dayを併用したところ胸部レ線, 肺機能, 血液ガスいずれも明らかな改善を認め, 以後は順調に経過している. 一般にはステロイド剤に反応性が良く予後良好とされているBOOPも, 病因および病理像で治療に対する反応性に差がある可能性があり, そのことを念頭において治療を考える必要があると思われる.
  • 小林 英夫, 高橋 将, 篠崎 浩治, 小林 紘一, Kouichi Kobayashi, 向井 万起男
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1171-1174
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    横隔膜下 (後腹膜) 気管支性嚢胞の1切除例を報告した. 症例は44歳女性で, 検診時, 左横隔膜に半球状の腫瘤影を指摘された. 超音波内視鏡とMRIより, ゲル状ないし出血性の内容物を含む気管支性嚢胞ないし食道嚢胞と考えた. 開腹術にて, 病変は, 横隔膜下, 後腹膜領域に存在し, 食道, 胃, 肺とは関連を認めなかった. 嚢胞の大きさは7×6×5cm, 内容物は茶褐色, 泥状の粘稠な流動物で, 壁内に軟骨成分と上皮成分が認められた. 組織学的所見より気管支性嚢胞と診断した. 存在部位が特異で, 粘稠度の高い内容物を含有する嚢胞の, 超音波内視鏡およびMRIの診断的価値につき報告した.
  • 樫山 鉄矢, 戸島 洋一, 溝尾 朗, 今橋 正令, 安田 順一, 藤田 明, 渡辺 明, 鈴木 光, 木村 仁
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1175-1179
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は84歳の女性. 背部痛で発症. 頚部のリンパ節腫大と, 胸部X線写真上両側肺野に多発する腫瘤様陰影を認めた. 経皮肺生検では壊死が強く, 特異的な所見が得られなかったが, 気管前のリンパ節生検にて diffuse large cell lymphoma と診断された. 脳梗塞による全身状態の悪化のため化学療法等の治療を行えなかったにもかかわらず, 左頚部のリンパ節および肺内の病変の大部分は自然に退縮した. 患者は後に, 汎発性腹膜炎のため死亡. 剖検では, 悪性リンパ腫の全身諸臓器への播種を認めた. 大部分の肺内の病変は瘢痕化していたが, 壊死組織の中に腫瘍細胞の残存が認められた. 小腸粘膜の腫瘍が壊死に陥り, 穿孔していた. 入院後の全経過は約6ヵ月であった. diffuse large cell lymphoma の自然退縮はまれであり, 若干の考察を加えて報告した.
  • 稲垣 護, 道又 秀夫, 湊 浩一, 須永 吉信, 小林 節雄, 谷 源一, 中澤 次夫
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1180-1185
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    練り歯みがきと解熱鎮痛薬の両者に過敏であることが確認されたアスピリン喘息の1症例に対し, leukotriene 生成抑制作用・leukotriene 拮抗作用・histamine 遊離抑制作用を持つ amlexanox を投与し, 症状の著明な改善と副腎皮質ホルモン連用からの離脱を得, また, amlexanox の sulpyrine 吸入誘発反応に対する抑制効果も認められた. これらの事実は, アスピリン喘息の病態形成に leukotriene, histamine が関連するとともにその治療に amlexanox が有用である可能性を示唆している.
  • 酒井 聡, 冨田 良照, 田中 春仁, 中原 康治, 味元 宏道, 小久保 光治
    1992 年 30 巻 6 号 p. 1186-1191
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は38歳, 男性. 頸部顔面浮腫を主訴とし, 当院受診し, 胸部X線写真にて縦隔腫瘍を指摘された. 胸部CT, 胸部MRIにて, 上縦隔に上大静脈, 両側の腕頭静脈への浸潤を示す腫瘍を認めた. 静脈造影では左右腕頭静脈で閉塞していた. 経皮的針生検では胸腺腫の診断で, 正岡分類III期で, 全摘術は不可能と考えた. 術前化学療法としてCDDP, ADM, VCR, CPAの多剤併用療法を行い, 上大動脈症候群の消失と腫瘍の縮小を認めた. 入院時より白血球減少を認めたため, rhG-CSFを併用した. 腫瘍は左腕頭静脈に浸潤しており, 腫瘍全摘および, 左腕頭静脈再建を行った. 病理組織学的検査では, 全体に壊死と線維化が強く, 一部に胸腺腫の遺残を認めるのみであった. 術後に同様の化学療法と上縦隔に40Gyのコバルト照射を行った. CDDPを主体とした術前化学療法が奏効し, 全摘術が可能となった症例を報告する.
  • 1992 年 30 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1992年
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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