日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
14歳で発症し, 両側気胸を合併したびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症の1例
坂本 晃宮崎 幸重小森 清和武富 勝郎飛永 晃二岸川 正大岡 三喜男河野 茂原 耕平
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 30 巻 8 号 p. 1532-1536

詳細
抄録

14歳, 女性. 1991年12月中旬より咳嗽, 胸痛, 血痰が出現し入院. 胸部X線像では右気胸と右中肺野には液面形成を伴う嚢胞が認められ, 左中肺野にも薄壁の嚢胞がみられた. 抗生剤の点滴静注と安静により液面形成は消失し, 気胸も改善し退院した. 約1週間後, 両側気胸で再入院となり, 緊急に胸腔内ドレナーンを挿入し, ブラ切除を目的に開胸し, 縫縮術を施行した. 右肺表面には小指頭大までのブラが多発し, 組織学的にはびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症 (以下PML) と診断した. 本例では, エストロゲンおよびプロゲステロンレセプターの測定は施行できなかった. ホルモン療法などで長期生存例も報告されており, 抗エストロゲン製剤を投与して現在再発なく経過観察中である. てんかんの既往があり, その経過中に両側気胸を合併した比較的まれなPMLを経験し, 結節性硬化症との関連を考える上で貴重な症例と思われたので報告した.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top