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小倉 剛, 田村 昌士
1992 年 30 巻 8 号 p.
1407-1447
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
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処方と評価を巡って
芳賀 敏彦, 栗原 直嗣
1992 年 30 巻 8 号 p.
1448-1487
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
ジャーナル
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松本 博之, 中野 均, 長内 忍, 秋葉 裕二, 飛世 克之, 小野寺 壮吉
1992 年 30 巻 8 号 p.
1488-1495
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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“K
+ channel openers”である lemakalim および pinacidil の低酸素性肺血管収縮および angiotensin II による昇圧反応に対する作用をラット摘出灌流肺を用いて検討した. lemakalim 10
-5M および pinacidil 10
-4M の投与で低酸素性肺血管収縮は著明に抑制された. 一方, angiotensin II の昇圧反応に対しては抑制傾向はあるが統計上有意の変化を認めなかった. また, lemakalim の血管収縮抑制作用は ATP-sensitive potassium channel (K
+ATP) blockers である glibenclamide 10
-5M あるいは tolbutamide 10
-3M で拮抗されたが, pinacidil ではK
+ATP blockers により拮抗されなかった. lemakalim はK
+ATPに作用点が存在し, pinacidil はK
+ATP以外の血管収縮抑制作用を有していることが推察された.
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湯口 恭利, 長尾 啓一, 河野 典博, 田辺 信宏, 山口 哲生, 沖田 伸也, 戸島 洋一, 岡田 修, 栗山 喬之
1992 年 30 巻 8 号 p.
1496-1506
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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健常者5例および胸部疾患患者35例に対し, 心電図同期スピン・エコー法により Magnetic Resonance Imaging を施行し右主肺動脈内腔の血流信号を観察した. 疾患例では, 右心カテーテル検査成績とも比較し, その臨床的意義を検討した. 心拡張期には, 健常者, 疾患例ともに殆どの例で有意な血流信号が認められたが, 収縮期には疾患例の一部にのみ認められた. 疾患例において, 収縮期に有意な信号が認められた群と認められない群とでは, 平均肺動脈圧, 肺小動脈抵抗, 心係数のそれぞれの平均値の間に有意な差が認められ, 前者の群で増悪していた. また血流信号の強度と平均肺動脈圧とは有意な相関がなかったのに対し, 肺小動脈抵抗とは正の, 心係数とは負の有意な相関がみられた. 肺動脈内血流信号は, 心拍出量の低下がもたらす血流速度の減少に伴って増強すると推定され, 胸部疾患患者における右心不全評価の臨床的指標の一つとして有用であると考えられる.
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佐々木 文彦, 石崎 武志, 高橋 秀房, 飴島 慎吾, 中井 継彦, 宮保 進
1992 年 30 巻 8 号 p.
1507-1514
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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慢性うっ血性心不全患者における気道過敏性亢進の機序を追究する目的で, モルモットにおいて左房内バルーンの膨張による急性肺うっ血モデルを作成し, 気道過敏性に及ぼす急性肺うっ血の影響を検討した. Propranolol にて前処置したモルモットでは, 左房内圧を10cmH
2Oに30分間維持した際に, わずかなR
Lの上昇 (N. S.) と有意な Cdyn (p<0.01) とPC100-ACh (p<0.01) の低下を認めたが, propranolol 前処置を行わない場合は, PC100-AChには有意な変化を認めなかった. このようなPC100-AChの変化は, 両側迷走神経切断にて軽度抑制されたが, phenoxy benzamine, Indomethacin, AA-861, OKY-046 による前処置には影響を受けなかった. 以上より, 急性肺うっ血時の気道過敏性の亢進は, 交感神経β受容体の遮断された状態でのみ発現し, 一部は迷走神経が関与しているものの, 交感神経α受容体やアラキドン酸代謝の関与はないと考えられた.
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麻酔および除脳犬におげる観察結果
近藤 哲理, 小林 一郎, 鈴木 英雄, 太田 保世, 山林 一
1992 年 30 巻 8 号 p.
1515-1519
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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麻酔または除脳により随意性調節を除去したイヌ4頭において, 自然排便時の呼吸筋活動を記録した. 麻酔下自発呼吸での排便時には腹筋活動によって腹腔内圧は上昇するが, 横隔膜の吸息性活動増加により胸腔内圧の呼吸性変化は維持されていた. 排便動作が持続して腹腔内圧の上昇が大きくなると, 横隔膜は吸・呼息に連続して活動した. 除脳動物でも排便時には呼吸のフローと気道内圧は呼吸性変化を維持し, 横隔膜には持続的な活動に呼吸性の活動増加が重畳していた. 除脳, 人工呼吸, 非動化, 開胸動物における排便時にも, 横隔神経には持続性活動に加えて呼吸性の活動増加がみられた. 自然排便時の横隔神経の非呼吸性活動と呼吸性の活動増加は排便の下行性指令自体に予め組み込まれた変化と推定されるが, 活動の大きさについても反射性の修飾が行われており, 呼吸と排便の両者を同時に遂行するように調節されていると考えた.
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細胞内外への過酸化水素放出量の相違
上部 泰秀, 桂 善也, 則武 昌之, 桐生 拓司, 四ノ宮 成祥, 萱嶋 信介, 脇山 博之, 永田 直一, 鶴 純明
1992 年 30 巻 8 号 p.
1520-1525
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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ラット肺胞マクロファージの細胞内外への活性酸素放出量を検討した. 細胞内に産生された過酸化水素量は dichlorofluorescin 法で, 細胞外に放出された過酸化水素量はスコポレチン法で測定した. 細胞内の過酸化水素量では貪食刺激であるオプソニン化ザイモザンが可溶性膜刺激であるボルボールエステルに比して上昇が顕著であった. また, 細胞外への過酸化水素放出量はホルボールエステル刺激がオプソニン化ザイモザンに比して有意の高値を示した. これらの結果から貧食刺激と可溶性膜刺激では放出される活性酸素の細胞内外の比率に差異があるものと考えられた. また, 肺胞マクロファージの活性酸素産生の基礎活性は細胞内外において高いレベルを示した. この基礎活性と刺激後の活性酸素産生がともにKCNによって顕著に抑制されたことから, 肺胞マクロファージにおける活性酸素はおもにミトコンドリアで産生されると考えられた.
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玉置 淳, 磯野 一雄, 千代谷 厚, 兼村 俊範, 坂井 典孝, 金野 公郎
1992 年 30 巻 8 号 p.
1526-1531
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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気道粘膜イオントランスポートに対するアンギオテンシン (ANG) の影響を検討するため, イヌ気管培養上皮細胞を用い, Ussing's short-circuit 法によりその電気的特性を測定した. ANG I, II, IIIは, いずれも短絡電流 (short-circuit current, Isc) を用量依存性に増加せしめ, 反応の強さはANG II≧ANG III≫ANGIであり, 粘膜側投与に比して漿膜側投与時に顕著であった. これらのIscの増加は amiloride による抑制を受けなかったが, diphenylamine-2-carboxylate, Cl-free メディウムにより著明に抑制された. またANG Iに対するIsc反応性は, MK422により用量依存性に抑制された. 以上の成績より, ANG IIおよびIIIは気道上皮細胞におけるCl分泌を選択的に亢進させ, ANG IはANG変換酵素によりANG IIに分解された後, はじめてその生理作用を発現するものと考えられた.
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坂本 晃, 宮崎 幸重, 小森 清和, 武富 勝郎, 飛永 晃二, 岸川 正大, 岡 三喜男, 河野 茂, 原 耕平
1992 年 30 巻 8 号 p.
1532-1536
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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14歳, 女性. 1991年12月中旬より咳嗽, 胸痛, 血痰が出現し入院. 胸部X線像では右気胸と右中肺野には液面形成を伴う嚢胞が認められ, 左中肺野にも薄壁の嚢胞がみられた. 抗生剤の点滴静注と安静により液面形成は消失し, 気胸も改善し退院した. 約1週間後, 両側気胸で再入院となり, 緊急に胸腔内ドレナーンを挿入し, ブラ切除を目的に開胸し, 縫縮術を施行した. 右肺表面には小指頭大までのブラが多発し, 組織学的にはびまん性過誤腫性肺脈管筋腫症 (以下PML) と診断した. 本例では, エストロゲンおよびプロゲステロンレセプターの測定は施行できなかった. ホルモン療法などで長期生存例も報告されており, 抗エストロゲン製剤を投与して現在再発なく経過観察中である. てんかんの既往があり, その経過中に両側気胸を合併した比較的まれなPMLを経験し, 結節性硬化症との関連を考える上で貴重な症例と思われたので報告した.
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田中 雅子, 市川 洋一郎, 木下 正治, 八谷 直樹, 竹田 圭介, 矢野 敬文, 田中 泰之, 香月 まこ, 堀田 まり子, 大泉 耕太 ...
1992 年 30 巻 8 号 p.
1537-1542
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例は32歳, 女性. 検診にて胸部異常陰影, 視力低下を指摘されて当科受診, 末梢血好酸球の増加, 胸部X線写真上右上肺野の多発性浸潤影を認めた. 経気管支肺生検 (TBLB) で気管支壁に壊死を伴う多数の肉芽腫と軽度の好酸球浸潤を認め, bronchocentric granulomatosis (BCG) と診断された. アスペルギルスに対する遅延型皮膚反応が陽性であり, 本症例の発症は, アスペルギルスに対するアレルギー反応による可能性が考えられた. また, BCGでは一般的に肺外病変を伴わないとされているが, 本症例は両側ブドウ膜炎を伴っており, 非常に稀な症例と考え報告した.
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山佐 稔彦, 今村 俊之, 友永 淑美, 原 耕平, 坂本 晃, 西島 教治, 宿輪 昌宏
1992 年 30 巻 8 号 p.
1543-1547
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例. 65歳, 男性. 咳嗽・喀痰・労作時呼吸困難を主訴として入院. 胸部X線写真上, 心拡大および両側下肺を中心に粒状網状影を認め, 胸部CTでも肺線維症と診断された. 入院時の血液ガス所見で, PaO
2=63.4torr と低酸素血症を認めた. 右心カテーテル検査にて, 肺動脈平均圧は24mmHgと肺高血圧を認めた. 肺血管床評価の目的で, DSAによる wedge angiography を右下葉肺動脈で施行した. 正常者では, 毛細血管相が均一な染まりとして認められるが, 本症例では室内空気呼吸時に, A
9の造影が不良で, 毛細血管相も減少していた. フェイスマスクで5L/分, 20分間投与後の造影では, 同部位の所見は, A
9の造影が良好となり, 毛細血管相も増加していた. この変化は, 酸素投与によって低酸素性肺血管攣縮が抑制されたことを示しており, 肺血管攣縮の視覚的評価に, DSA wedge angiography が有用であると考えられた.
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森田 祐二, 山岸 雅彦, 四十坊 典晴, 竹澤 周子, 平尾 真穂子, 黒川 慶三, 本間 昭彦, 浅川 三男, 鈴木 明
1992 年 30 巻 8 号 p.
1548-1553
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例は57歳男性. 胸部X線写真上右肺門付近の腫瘤影を指摘され当科に入院した. 右B
6からの末梢病巣擦過細胞診で大細胞癌と診断したが, すでに stage IIIB (T3N3M0) であったため化学療法および放射線照射を行った. しかしながら, 効果はみられず次第に増悪し呼吸不全を来たし死亡した. 本症例は経過中明らかな感染所見は認められなかったが, 白血球 (好中球) は徐々に増加し, 死亡直前には47,000/mm
3 (好中球96%) まで上昇した. 剖検による病理組織学的検討では, 原発巣は大細胞癌部分のみならず紡錘形細胞から成る肉腫様部分の混在を認め, 転移巣では主に紡錘形細胞がみられた. 両組織部分では各種マーカーの染色結果は一致し, さらに両者間に移行像がみられたことから肉腫様変態を伴った大細胞癌と診断した. また, 抗ヒト顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 単クローン抗体4A6を用いた免疫組織化学的検討で, 腫瘍細胞の細胞質内にG-CSFが顆粒状に染色された.
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小林 英夫, 高橋 将, 平尾 庸一, 小林 紘一, 向井 万起男
1992 年 30 巻 8 号 p.
1554-1557
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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フローヴォリューム曲線上, 胸郭外気道狭窄のパターンを呈した左上幹発生の早期粘表皮癌の1切除例を報告した. 症例は23歳, 女性で, 呼吸困難, 咳嗽, 喘鳴を主訴に入院した. 気管支鏡にて左主幹をほぼ閉塞する白苔に被われたポリポイド病変が認められ, 生検にて粘表皮癌と判明した. レーザー照射による腫瘍縮少にて, 病変が左上幹発生と判明したため, スリーブ左上葉切除を施行した. 切除標本では腫瘍の進展は気管支壁内に留まる肺門部早期肺癌であった.
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八木 哲也, 山本 雅史, 川端 厚, 長竹 正明, 佐竹 立成, 下方 薫
1992 年 30 巻 8 号 p.
1558-1562
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例は60歳, 女性. 1971年全身性エリテマトーデス (以下, SLE) と診断されている. 1977年より少量のプレドニゾロンを約13年間内服し, 漸減, 中止となった11日後の1990年6月18日頃より, 咳嗽, 熱発が出現した. 貧血の進行と胸部X線で両下肺野に air bronchogram を伴う浸潤影を認め, 他院に入院し治療を行ったが呼吸不全が進行し, 同年6月30日当院に転送入院となった. 著しい低酸素血症と胸部X線で浸潤影の拡大をみたため, 人工呼吸管理とし, 強力な抗生剤治療のもとにステロイドパルス療法を施行した. しかし, 胸部異常影は改善せず, 腎不全に陥り多臓器不全を引き起こし死亡した. 剖検肺では著明な肺出血と間質性肺炎の像がみられた. 肺胞隔壁への免疫グロブリンの沈着はみられなかった. 本症例は, 肺出血を合併したSLEの本邦報告第11例目であり, 文献的考察を加え報告した.
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鈴木 信夫, 大野 彰二, 竹内 靖子, 山中 弘毅, 杉山 幸比古, 北村 諭
1992 年 30 巻 8 号 p.
1563-1568
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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58歳男性. 肺結核症のため isoniazid (INH), rifampicin (RFP), ethambutol (EB) で治療中, 16日目から発熱, 乾性咳嗽を訴え, 20日目から呼吸困難と低酸素血症が出現. 胸部X線写真上, 両側広範な浸潤影と少量の胸水を認めた. 経気管支肺生検の結果, リンパ球の浸潤を伴う軽度の胞隔炎と granuloma を認めた. 薬剤アレルギー試験 (drug lymphocyte stimulation test: DLST) では, INHに対するりンパ球幼若化反応が陽性であった. すべての薬剤中止とステロイドの投与により, 症状の軽快と胸部陰影の改善をみた. その後, streptomycin (SM), RFP, EB にて治療を再開したが症状の再現はなかった. 臨床経過, 組織所見, DLSTの結果から, INHによる薬剤性肺臓炎と考えられた.
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植村 新, 岡野 昌彦, 岩田 政敏, 佐藤 篤彦
1992 年 30 巻 8 号 p.
1569-1573
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例は34歳男性. 生来健康. 子供が水痘に罹患したのに引き続き発熱, 咳嗽および体幹を中心に水疱が出現. 胸部X線上, 両側の末梢を血管影に沿いびまん性多発結節影を認め入院. 家族歴, 典型的皮疹, 抗体価, 胸部X線などより原発性水痘肺炎と診断し, 肺電顕像にて間質の線維化や浮腫, ウイルス様粒子を認め, ウイルス性肺炎を示唆する所見, また免疫応答の所見を得た. 治療は抗生物質, 抗ウイルス剤等を使用し, 症状, 結節影ともに消失し水疱も痂皮化した. 寛解後の血液ガス, 肺活量, %VC等肺機能に関して, すべて正常値を示した. 一般に, 成人水痘例は小児と比べより強い免疫反応を示し, 重篤化しやすいとされるが, 完全な細胞性免疫機構が備わっていれば予後は良好であり, 原発性水痘肺炎に関しては, 早期の的確な診断と, 治療としては低酸素血症の是正, 二次感染防止のための抗生物質が重要であり, 各個体に応じて抗ウイルス剤などを使用すべきと考えた.
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茂木 充, 北原 陽之助, 山内 康彦, 福田 稔, 滝野 豊, 鎗田 宏, 山洞 善恒, 高柳 昇, 鈴木 忠, 城下 尚
1992 年 30 巻 8 号 p.
1574-1578
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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2例の Churg-Strauss 症候群を経験した. 症例1は25歳, 女性, 症例2は31歳, 男性, 前者では喘息発症の1年後に, 後者では6年後に発熱, 皮疹, 腹痛, 筋痛, 多発性単神経炎等が出現した. 症例1ではプレドニソロン40mg/日投与中に広範な肺浸潤影が出現し, 80mg/日へ増量し陰影が消失した. 皮膚及び肺生検で好酸球浸潤を認めた. 腹痛, 神経症状に対しパルス療法を施行したが, 著効しなかった. 8ヵ月後に好酸球増多に伴い心嚢液及び胸水の再貯留を認めた. 症例2では血管炎症状出現の1年後, プレドニソロン15mg/日投与中に喘息が再燃し好酸球増多と肺浸潤影の出現をみた. 皮膚生検では好酸球浸潤と壊死性血管炎を, 肺生検で好酸球浸潤と小肉芽腫を認めた. シクロホスファミドを併用し, 以後6年間に血管炎症候群の再発はない. 2例とも神経症状が残存し, またプレドニソロン減量中に血管炎症状が再発しており, 長期の注意深い経過観察が必要と考えられた.
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大崎 緑男, 水島 豊, 川崎 聡, 星野 清
1992 年 30 巻 8 号 p.
1579-1582
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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Alkaline phosphatase 結合性免疫 globulin (ALP-Igs) が検出された気管支喘息の1例を経験した. 症例は, 67歳女性. 気管支喘息重積発作にて当科入院. 入院時高ALP血症を呈し, ALPアイソザイムにてALP-Igsを認めた. Predonisolone 投与により喘息症状は改善し, ALP値も低下した. 以後喘息増悪時に, 高ALP血症及びALP-Igsを認めた. 自己免疫疾患を示唆する所見は認めなかった. ALP-Igsと気管支喘息の病勢との関連性が伺われた.
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大坊 中, 吉田 順子, 北澤 俊一, 小坂 陽一, 坂東 武志, 須藤 守夫
1992 年 30 巻 8 号 p.
1583-1588
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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小柴胡湯により肺臓炎と肝障害を惹起した1例を報告した. 症例は56歳男性, 近医で小柴胡湯の投与後, 肝障害が悪化し当院へ入院した. 退院後, 前医で小柴胡湯を再投与したところ, 肝機能の悪化と重篤な肺臓炎を惹起した. ステロイドパルス療法と小柴胡湯の投与中止により軽快した. リンパ球刺激試験は小柴胡湯に対し陽性であった. チャレンジテストで動脈血酸素分圧の低下と肝機能の悪化を認めた. 以上から小柴胡湯により惹起された肺臓炎および肝障害と診断した. 安全な薬剤とされている漢方薬によっても, 本例のように重篤な副作用が生じ得ることに注意すべきである.
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財前 智一, 荘田 恭聖, 杉本 峯晴, 松本 充博, 興梠 博次, 山崎 寿人, 坂田 哲宣, 税田 直樹, 安藤 正幸, 荒木 淑郎
1992 年 30 巻 8 号 p.
1589-1593
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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症例は生来健康な男性で22歳時に眼病変と両側肺門リンパ節腫大 (BHL) とをもって発症し, 前斜角筋 (リンパ節) 生検でサルコイドーシスと診断された. その後肺病変が出現し慢性進行性に経過し, 次第に広範な air-space consolidation を認めるようになり, 発症の12年後には多房性の空洞を認め呼吸不全を伴うようになった. 結核菌, 真菌, その他の病原菌は検出されずに空洞近傍よりTBLBでサルコイド肉芽腫が証明された. 肉芽腫病変の増大, 融合に伴って虚血性壊死をきたし空洞化したものと考えられた. ステロイド投与により自他覚所見の著明な改善を認めた. 本症例は若年発症のサ症であっても稀にはこのように進行性破壊性の経過をとり得ることを示している.
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1992 年 30 巻 8 号 p.
1594-1615
発行日: 1992/08/25
公開日: 2010/02/23
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