日本胸部疾患学会雑誌
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酸素投与にて肺血管床の増加を認めた肺線維症の1例
山佐 稔彦今村 俊之友永 淑美原 耕平坂本 晃西島 教治宿輪 昌宏
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1992 年 30 巻 8 号 p. 1543-1547

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抄録

症例. 65歳, 男性. 咳嗽・喀痰・労作時呼吸困難を主訴として入院. 胸部X線写真上, 心拡大および両側下肺を中心に粒状網状影を認め, 胸部CTでも肺線維症と診断された. 入院時の血液ガス所見で, PaO2=63.4torr と低酸素血症を認めた. 右心カテーテル検査にて, 肺動脈平均圧は24mmHgと肺高血圧を認めた. 肺血管床評価の目的で, DSAによる wedge angiography を右下葉肺動脈で施行した. 正常者では, 毛細血管相が均一な染まりとして認められるが, 本症例では室内空気呼吸時に, A9の造影が不良で, 毛細血管相も減少していた. フェイスマスクで5L/分, 20分間投与後の造影では, 同部位の所見は, A9の造影が良好となり, 毛細血管相も増加していた. この変化は, 酸素投与によって低酸素性肺血管攣縮が抑制されたことを示しており, 肺血管攣縮の視覚的評価に, DSA wedge angiography が有用であると考えられた.

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