日本胸部疾患学会雑誌
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粘液貯留に起因する多発性の気管支結石の1例
平島 智徳大畑 一郎玉野井 優水児嶋 真治荒木 良彦川幡 誠一木村 謙太郎花本 澄夫越智 規夫菊井 正紀
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1993 年 31 巻 1 号 p. 79-83

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抄録

気管支結石症は本邦において森, 篠井らの報告以来140例報告されている. 今回我々は気管支拡張症に慢性呼吸不全を合併し急性増悪の為死亡, その後剖検となった57歳男性の症例を経験した. 剖検の結果, 両側肺の下葉を中心に多発する気管支結石を認めた. 肺内肺門縦隔リンパ節, 他臓器の石灰化を認めなかった. 本例の気管支結石は層状構造を示し, 弾力線維染色および銀線維染色でリンパ節や肺組織をうかがわせる所見を認めず,拡張した気管支に一致して形成されていた. 以上の所見から本例は気管支拡張症の粘液貯留に起因する多発性気管支結石と考えられた. 同様の症例は検索した範囲では認めず, 極めて稀な症例と思われた. また結石の成分は炭酸カルシウム78%, 蛋白質22%であった. 分泌物貯留に起因する気管支結石では, 炭酸カルシウムを主成分にすることが多いという報告に一致した.

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