日本胸部疾患学会雑誌
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GM-CSF投与により著明な好酸球増多を来した1症例
沢本 修一野本 日出男山田 和人川島 隆二牧野 公洋中込 幸一武井 隆溝部 政史大田 健真野 健次
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1993 年 31 巻 12 号 p. 1560-1565

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抄録
肺癌の, 化学療法による骨髄抑制の予防目的に, recombinant-human-granulocytemacrophage-colony-stimulating-factor (rhGM-CSF) (ヘキスト・ジャパン) を使用したところ, 末梢血において著明な好酸球増多を認め, 最高で好酸球が白血球分画中89% (33,464/mm3) を占める異常な高値を示した. 好酸球増多時の臨床症状としては, 発熱以外特に認めなかった. 好酸球数と血清サイトカイン濃度との関係を調べるために, 血清中のGM-CSF, interleukin-3 (IL-3), interleukin-5 (IL-5) 濃度を測定した. また, 好酸球の活性化の状態を調べるために, 血清中の eosinophil cationic protein (ECP) 濃度を測定した. その結果, 好酸球数と血清サイトカイン濃度及び, 血清ECP濃度との間には相関性は認められなかった. 本症例は好酸球数増加のメカニズム及びその時の血清サイトカイン, ECPの意義を考える上で極めて興味深い症例と考えられた.
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