日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
慢性閉塞性肺疾患におけるTl-201心筋シンチグラムによる右室壁描画の検討
藤井 忠重田中 正雄武田 正松沢 幸範半田 健次郎吉村 一彦
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 31 巻 4 号 p. 465-473

詳細
抄録
慢性肺気腫 (PE) 48例, 気管支喘息 (BA) 23例などCOPD 130例にTl-201心筋シンチグラフィを実施し, 右室壁描画 (RVV) を中心に本法の意義を検討した. T1-201の右室摂取率は各疾患とも健常例に比し高値で, 特に Burrows のB型, PEは他疾患に比し高値を示した. 視覚的なRVVでは高度描画 (+++) は少ないが中等度描画 (++) はBAを除き80%以上に認められ, 心電図右室負荷所見数の多い例, 右心不全例, 呼吸困難度の強い例などは前者に多いが後者には少ない. RVV (++) 以上の群ではBAを除く疾患で%VC, FEV1.0%, RV/TLC, V25,%DLCO, Raw, ΔN2, PaO2などが異常値を示し, それらの内容・程度は疾患種やRVVの程度で若干の相違を示した. 肺血流障害の広さもRVVの程度と関連したが, DPBでは前者に比し後者は比較的軽度であった. 本法は右室肥大の程度を評価し, 経過観察の手段として有用で, またTl-201肺集積を考慮することにより炎症性, 間質性肺疾患, 左心疾患との鑑別に役立つ.
著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top