2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 183_1
温浴と冷浴を交互に繰り返す交代浴療法(CWT)は、スポーツ選手の筋疲労回復を目的として広く行われている。しかしその疲労回復効果や方法論について、局所筋機能に着目した定量的な研究は少ない。本研究では掌握運動を対象として、疲労後のCWTが活動筋機能に及ぼす影響を筋電図、拡散相関分光法、空間分解分光法により評価した。健常若年被験者4名を対象とし、30 %最大随意収縮(MVC)で2分間の動的掌握運動(2秒収縮・2秒弛緩)を行った後、50 %MVCで3分間の静的収縮を課すことで筋疲労を発生させた。筋疲労後、CWT条件 では前腕の温浴(2分)・冷浴(1分)を3回繰り返した後、元の体勢に戻り1分間安静状態をとった。Control条件では10分間の安静とした。 その後、再度30%MVCの動的掌握運動を2分間行い、続けて10 %MVCずつ負荷を増加する漸増負荷動的掌握運動を各強度2分間ずつ疲労困憊に至るまで行った。漸増運動の持続可能時間はCWT条件が398±49秒 、Control条件が310±58秒となり、CWT条件で有意(p < 0.01)に延長した。 また、30%MVCの動的掌握運動時における浅指屈筋の筋電図平均周波数はControl条件では疲労前と比べて疲労後に低下したが、CWT条件では増加した 。これらの結果はCWTの筋機能回復効果を示唆している。発表では、同時計測した浅指屈筋の血流速度指標、酸素飽和度、相対的酸素代謝率について詳細に解析を行った結果を併せて示し、CWTの有用性について報告する。