抄録
99mTc-DTPAエアロゾル吸入シンチグラムにおいて, エアロゾル気道沈着の肺上皮透過性推定に対する影響を検討した. エアロゾル吸入画像を沈着の均一性, 沈着欠損と気管支に沿った hot spot (以下スポットと記載) の有無とにより4段階に分類した. 健常者の全例および肺線維症例の77%ではスポットや沈着欠損を認めず, エアロゾルは肺末梢領域に沈着し, 肺上皮透過性の評価が可能と考えた. これに対して慢性閉塞性肺疾患の全例と肺線維症例の23%では, スポット形成と肺野の沈着欠損を認めた. これら対象ではエアロゾル気道沈着のため肺上皮透過性の評価が困難と考えた. エアロゾルの吸入画像の解析は肺上皮透過性評価の可否を考慮するうえで欠かせないと考えた.