抄録
くすぶり型成人T細胞白血病 (ATL) の経過中, 過敏性肺臓炎を合併し, 後にATL細胞の肺浸潤を起こした37歳女性例を報告した. 胸部レ線上びまん性陰影を呈し, 気管支肺胞洗浄では, リンパ球が71%であり, その表面マーカーは suppressor cell 優位であった. 肺生検では, 間質の線維化性変化を示していた. 血清沈降抗体は, 自宅のホコリを含む5種類の抗原に対して陽性であり, 帰宅による環境誘発試験で症状は再燃した. 経過中, 表在性リンパ節腫脹が, 肺のびまん性陰影の変化と一致して出没していた. その後, 抗HTLV-1抗体陽性並びに末梢血中ATL細胞の存在等からATLと診断された頃からATLは急性化し, ATL細胞の肺浸潤のため呼吸不全にて死亡した. HTLV-1感染に伴う肺病変の1つに過敏性肺臓炎も起こりうることを示唆した症例であると思われた.