日本胸部疾患学会雑誌
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気管支浸潤像が著明であったT細胞性リンパ腫の1例
大石 秀人岡野 昌彦中野 豊植村 新佐藤 篤彦
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1993 年 31 巻 6 号 p. 749-753

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抄録
気管支病変を伴った悪性リンパ腫の1例を経験した, 症例は35歳, 男性. 入院時胸部X線では両側肺門リンパ節腫大, 上縦隔の拡大を認め, CT, MRIでは病変は縦隔, 肺門の腫大リンパ節に連なって左右主気管支を取り巻いている所見であった. 67Gaシンチでは同部に集積を認めた. 気管支鏡では左主気管支は全周性に狭窄し, 気管支粘膜は発赤を伴っていたが滑らかであった. 同部より直視下に生検を施行し, 非ホジキンリンパ腫と診断. 表面マーカーはCD2, CD4, CD8が陽性, CD19, CD20が陰性でありT細胞性リンパ腫と考えた. 全身の検索にて他の部位への侵襲は認められず, stage IIと診断し, MACOP-B療法を施行し完全寛解を得た. その後41.4Gyの放射線治療を行い, 現在再発の徴候はなく経過観察中である. 本症例は比較的まれな気管支浸潤像をみた縦隔リンパ節原発悪性リンパ腫で, 本疾患の診断上, CT, MRIが有用であることを示す症例であると考える.
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© 日本呼吸器学会
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