1993 年 31 巻 6 号 p. 760-765
症例は64歳の男性. 29歳時に結核性胸膜炎に罹患し, 58歳より在宅酸素療法を行っていた. 62歳時, 安静時呼吸困難および間代性痙攣を主訴に入院. 2回にわたりCO2ナルコーシスを発症したため, 経鼻挿管による間歇的陽圧呼吸の後, 胸郭外陰圧式人工呼吸器による間歇的陰圧呼吸に移行した. 退院後, 夜間平均7時間の使用にて, 20ヵ月を経過しているが, 慢性呼吸不全の急性増悪はなく, 日中の活動性の改善が得られた. 肺疾患によるCO2蓄積を伴う慢性呼吸不全患者に対し, 胸郭外陰圧式人工呼吸による夜間在宅人工呼吸療法は有用であると考えられた.