日本胸部疾患学会雑誌
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気管支喘息の呼吸管理中, 気腹及び後腹膜気腫を生じた1例
桐生 拓司小林 英夫川口 真平叶 宗一郎上部 泰秀酒井 正雄松岡 健永田 直一
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1993 年 31 巻 6 号 p. 771-774

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抄録

症例は46歳女性で気管支喘息重積発作により緊急入院となった. 入院時全身チアノーゼを呈し, 動脈血ガス所見はpH7.163, PaO2 29.9Torr, PaCO2 81.3Torrであった. 人工呼吸管理を施行中に, 縦隔気腫, 皮下気腫に加え, 後腹膜気腫, 気腹を合併したが, 呼吸状態の改善にひきつづき, 20日後に消失した. 気管支喘息の後腹膜気腫もしくは気腹の合併例としては本邦第4例目である. 気腹の成立機序としてはCT上, 両側内胸動脈周囲にガス像が認められ, 横隔膜の胸骨及び肋骨起始部から成る胸肋三角すなわち Anterior Pathway を経由し, 縦隔より腹腔へ空気が移行したものと考えられた.

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