1993 年 31 巻 9 号 p. 1103-1108
閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者の交通事故頻度と傾眠傾向を分析し, それらへのNCPAP治療の効果を検討した. 自動車運転歴を有するOSAS患者14例 (男性, 46±7歳) に過去3年間の交通事故及び非常に危険だった状態 (ニアミス) の有無をアンケート調査した. 治療前の事故率は42%, ニアミスは64%で, いずれも追突事故であった. Stanford Sleepiness Scale (SSS) による傾眠評価では4.7±1.0と著明な日中の傾眠傾向が認められた. NCPAP在宅治療開始11±9ヵ月後行った再調査では交通事故, ニアミスとも全く認められず. SSSは, 2.0±0.8に低下し傾眠の改善が認められた. 内田ークレペリンテストにより作業能力を評価したが治療後には, 有意に点数が上昇し, 作業能力の向上が認められた. 無治療のOSAS患者は著明な日中傾眠傾向を有し, 交通事故率が高率であった. NCPAP治療により, 交通事故, ニアミスとも消失し, 傾眠と作業能力の改善が認められた.