抄録
本症例は52歳, 男性. 発熱, 胸背部痛で受診. 胸部X線写真で右肺下野の浸潤影, 左胸水を認め肺結核の疑いで入院, 抗結核剤使用により一時軽快したが, 発熱, 増悪を反復し, 胸水および末梢血中好酸球増多, IgE高値を認めた. 好酸球性胸水 (EPE) は多彩な基礎疾患に関連して出現し, これらの基礎疾患はまた非好酸球性胸水とも関連する. 寄生虫症は末梢血好酸球増多を伴うEPEの主な原因疾患の一つである. しかし種々の検索によっても原因疾患を確定できず, 約1/3が特発性と分類されている.本症例は入院中原因疾患を確認できず, 特発性として抗アレルギー剤, ステロイド剤使用により軽快退院した. その後免疫学的検索により宮崎肺吸虫症であったことが判明, さらに現在治癒していることが確認された. 宮崎肺吸虫症の自然治癒は, 理論的に推定されているが, 症例によって明らかにされたので報告する.