日本胸部疾患学会雑誌
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造血器腫瘍に合併したMRSA肺炎の検討 -悪性リンパ腫のBALFの解析を中心として-
新津 望中田 正幸白井 達男
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1994 年 32 巻 1 号 p. 25-30

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抄録
造血器腫瘍の治療成績は, 化学療法の進歩により著しく向上している. しかし, 多剤併用の抗生物質の予防投与によりMRSA感染症が増加し, 特に造血器腫瘍に合併したMRSA肺炎は予後が悪いことが知られている. 今回われわれはMRSA肺炎を合併した造血器腫瘍患者の臨床像及び気管支肺胞洗浄液所見 (BALF) を検討し, 予後不良の原因を解析した. 造血器腫瘍223例中18例 (8.1%) にHMRSA肺炎を合併し, 基礎疾患はリンパ系腫瘍が多かった. また, 好中球減少時に発症していた. 肺炎発症前に抗癌剤による化学療法, ステロイド療法が行われていた症例が大部分で, 化学療法による好中球減少時に第三世代の抗生物質を使用していた. 非ホジキンリンパ腫 (NHL) に対するBALHF中のリンパ球サブセットの検討ではNHL自体および化学療法によるCD4/CHD8比の変化が認められ,それがMRSA肺炎発症になんらかの関わりがある可能性が示唆された.
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