1994 年 32 巻 1 号 p. 37-41
アスペルギルスおよびクリプトコックス呼吸器感染症において, 真菌の主要な壁構成成分の1つであるβ-グルカンの血中濃度を, Gテストを用いて測定した. 肺クリプトコックス症10例での血中β-グルカン量は, 透析を受けている1例を除いて他の9例はほぼ正常であった. 血液疾患に合併した侵襲性肺アスペルギルス3例ではβ-グルカンは高値で, ガラクトマンナン抗原も陽性であった. しかし, 本来は壁浸潤はないと考えられているアスペルギローマで8例中5例において血中β-グルカン量の増加が認められ, 2例においてガラクトマンナン抗原が陽性になった. 壁在性増殖型アスペルギローマ3例中1例, 慢性壊死性肺アスペルギルス症1例においても, β-グルカンとガラクトマンナンの両抗原ともに陽性を示した.