日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
Print ISSN : 0301-1542
ISSN-L : 0301-1542
マイコプラズマ肺炎における prednisolone の投与意義 -マウス感染モデルを用いて-
田中 裕士岡田 春夫山岸 雅彦本間 伸一菅原 洋行阿部 庄作田村 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 32 巻 1 号 p. 42-47

詳細
抄録

マイコプラズマ肺炎における, ステロイド剤の治療効果を検討する目的で, ICRマウスの Mycoplasma (M.) pulmonis 肺炎を用い, minocycline 単独投与群 (M群), prednisolone 単独投与群 (P群), MとPの併用投与群 (MP群) および対照群を設け検討した. 薬剤投与は感染後3日目から7日間とし, 各群7, 14, 21日目に剖検した. 1) 肉眼的肺炎スコアはM群の14日目, MP群の7, 14, 21日目で対照群より有意 (p<0.05) に低値であった. 2) 肺病理像は, M群で残存した気管支血管周囲の間質性病変がMP群ではさらに抑制された. 3) MP群の血清CF抗体価は他の群と比較して最も低値で推移した. 4) P群では対照群で全く分離されなかった関節でも菌が培養された. マウス M. pulmonis 肺炎では, 抗生剤単独よりもステロイド剤を併用した方が肺炎はより改善し, 気管支血管周囲の間質性病変は減少した. また, ステロイド剤単独投与では, 血中抗体価の上昇は抑制され, 菌の全身撒布も促進される危険性が示された.

著者関連情報
© 日本呼吸器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top