日本胸部疾患学会雑誌
Online ISSN : 1883-471X
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診断にPCR法が有効と思われた胸水貯留の1例
結核性胸膜炎の文献的考察を加えて
林 光俊永井 厚志小林 健二沢井 高志金野 公郎
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キーワード: 結核性胸水, PCR, DNA
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1994 年 32 巻 1 号 p. 90-94

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抄録
症例は, 胸痛とともに胸水が出現した38歳の男性. 胸水の性状は浸出性でリンパ球優位の細胞分布を示し (6160/3) ADAは高値であった. 細菌学的検査では塗沫, 培養のいずれにおいても陰性であったが, ツベルクリン反応は強陽性であった. 結核性胸水が疑われたため結核菌の IS6110 insertion element をコードした primer を用いPCR法を施行し結核菌DNAを検出し結核性胸水と診断した. 抗結核剤投与にてその後胸水は消失した. 結核性胸膜炎の診断においてPCR法は迅速で鋭敏な検査法として臨床的に極めて有用であると考えられる.
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