日本胸部疾患学会雑誌
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肺転移にて発見され, 免疫組織化学的検査が診断に有用であった前立腺癌の1例
西 耕一雨宮 徳直大家 他喜雄車谷 宏藤村 政樹松田 保
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1994 年 32 巻 10 号 p. 1001-1005

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抄録
肺転移にて発見され, 経気管支肺生検 (TBLB) 標本の免疫組織化学的検査が診断に有用であった前立腺癌の1例を報告する. 症例は79歳男性で, 主訴は全身倦怠感および食思不振であった. 胸部単純X線写真にて多発性結節影を指摘され, TBLBで中等度分化型腺癌の所見が得られた. 画像所見から, 転移性肺癌が疑われたが, 原発部位は当初不明であった. 2年後に下部尿路症状が出現し, 前立腺の肥大を指摘されたが, 生検では癌細胞は検出されなかった. アンチアンドロゲン製剤を投与すると, 肺の結節影が著明に縮小したため, 前立腺癌および肺転移が疑われた. そこで, TBLB標本に対して前立腺性酸性フォスファターゼや前立腺特異抗原を染色すると, 癌細胞は陽性に染まり, 前立腺癌の肺転移と臨床診断された. さらに, 剖検にて前立腺に癌細胞が認められ, 前立腺癌および肺転移と確定診断された. このような症例は比較的稀であり, 文献的考察を加え報告した.
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