日本胸部疾患学会雑誌
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農薬ブラストサイジンSによる急性間質性肺炎と考えられる1例
豊嶋 幹生佐藤 篤彦谷口 正実妹川 史朗中澤 浩二早川 啓史千田 金吾
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1994 年 32 巻 4 号 p. 344-347

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抄録

症例は41歳男性, 製薬会社勤務. 農薬ブラストサイジンSの結晶粉砕作業数時間後より下痢, 数日後より咳漱, 呼吸困難, 発熱が出現した. 胸部X線上, びまん性スリガラス状陰影, 斑状影, 胸部高分解能CTにてびまん性の肺野濃度の上昇を認め, 血液ガス分析にて著明な低酸素血症を認めた. BALにて総細胞数, リンパ球, 好中球, 好酸球の増加, CD4/8 比の上昇を認めた. 入院後ミノサイクリンを投与するも陰影は増悪, ステロイドパルス療法および後療法にて陰影を残さず軽快した. ブラストサイジンSは稲のイモチ病に用いられる抗生物質系農薬であり, 吸入した場合に間質性肺炎を起こすことが報告されている. 急性間質性肺炎の原因として本剤も念頭に置くべきと考えられる.

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