日本胸部疾患学会雑誌
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32 巻, 4 号
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  • 村松 芳幸
    1994 年 32 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    在宅酸素療法を受けている呼吸不全及び準呼吸不全患者38例について, 在宅酸素療法における心身医学的問題を検討した. 心理テストでは, 在宅酸素療法患者に比べ, 非在宅酸素療法患者の女性に過剰適応の自我状態が認められた. また, 抑うつ尺度と大気下PaO2の間に負の相関傾向がみられた. 次に, 在宅酸素療法導入から3年間, 経時変化を検討した. 常に呼吸器系, 心臓脈管系の自覚症スコアが高く, 抑うつ状態を示す症例が16.6~36.4%みられたが, 不安を示す症例は0~16%と低かった. また導入1年目にのみ, 失感情症を示す症例が25.0%認められた. さらに, 全ての在宅酸素療法患者において, 経過期間と失感情症尺度の間に負の相関が認められ, 呼吸器系自覚症のスコアと,ΔPaO2, PaCO2およびpHとの間に相関がみられた. 以上より, 在宅酸素療法患者に対して, 身体面のみならず心理社会面からの多元的アプローチが必要であると考えられた.
  • 山口 佳寿博, 森 正明, 高杉 知明, 小山田 吉孝, 河合 章, 浅野 浩一郎, 青木 琢也, 藤田 浩文, 鈴木 幸男
    1994 年 32 巻 4 号 p. 302-308
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    オレイン酸急性肺損傷犬50頭を用いて血管作動性シクロオキシゲネース系代謝産物がシャント血流量 (QS/QT) ならびに肺血管外水分量 (ETVI) に対して如何なる影響を及ぼすかを検討した. シクロオキシゲネース活性をインドメサシンによって抑制すると血中トロンボキサンB2 (TXB2), 6-ケト・プロスタグランジンF (6-keto-PGF) の低下に伴いQS/QTの減少を認めた. 同時にインドメサシンはETVIの増加を抑制した. TXA2合成酵素阻害薬 (OKY-046) の投与によって血中TXB2の低下と6-keto-PGFの上昇が観察され同時にQS/QTの増加を認めた. 合成プロスタサイクリン (PGI2) の投与によってQS/QTが増加した. OKY-046, PGI2投与群におけるETVIは有意に増加した. 以上より血管拡張性PGI2はオレイン酸急性肺損傷においてシャント血流ならびに水腫液貯留を増悪させるものと考察した.
  • 塩田 雄太郎, 佐藤 利雄, 山口 和男, 小野 哲也, 加地 正郎, 新屋 晴孝
    1994 年 32 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    悪性中皮腫7例のCT所見を検討した. 対照として癌性胸膜炎を有する肺癌9例, 結核性胸膜炎11例を選んだ. 5人の悪性中皮腫については入院時と1~7ヵ月後の2回について検討した. 悪性中皮腫と結核性胸膜炎は胸膜の結節性変化の有無, 胸壁への浸潤の有無により鑑別はある程度可能と考えられた. 悪性中皮腫と癌性胸膜炎を明瞭に区別する所見は発見出来なかったが, 悪性中皮腫に特徴的な所見としては, 胸膜の円周性の肥厚が比較的短時間で出現し, 時間を追って検討すると, かなり高頻度に認められること, 胸壁への直接浸潤の傾向が強いことであった. 好発部位については, 我々は胸膜を上前方, 上後方, 下前方, 下後方の4つの部位に分けたところ, 胸膜病変は悪性中皮腫では上方よりも下方に所見が出現しやすいことが明らかとなった.
  • 島田 和佳, 半田 政志, 近藤 丘, 岡田 克典, 大浦 裕之, 広瀬 正秀, 堀越 章, 藤村 重文
    1994 年 32 巻 4 号 p. 315-318
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    昨今, 欧米ではドナ-不足が深刻な問題として浮上してきている. また, 本邦で今後肺移植が再開されたとしても, 欧米以上のドナー不足の問題に突き当たるのは明らかである。この問題解決の一助にと, 本研究ではドナー・ソースの拡大のため, 脳死後に心停止に至ったドナー肺を用いた移植について, イヌを用いて検討した. 移植直後の移植肺の機能は全例で良好であり, 対側肺動脈遮断試験を行ったところ移植肺のみにて生存した. 肺炎や, 気管支吻合部の縫合不全などの合併症を認めなかった例では, 1週間後も移植肺の機能は良好であり, 対側肺動脈遮断試験で移植肺のみにて生存した. 以上より, 心停止後の肺でも移植に用いうる可能性が示された.
  • 早期膿胸腔郭清術と胸腔 urokinase 注入
    千原 幸司, 江村 正仁, 中村 隆之, 上野 孝男, 尾柳 大樹, 小澤 佳広, 平田 健雄
    1994 年 32 巻 4 号 p. 319-323
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    背部と前側胸・縦隔部とに腔が分画され, いずれも後者がより進行した線維素膿性期の非結核性膿胸2例 (男性: 76歳, 59歳) に発症より3週, 6週目に小開胸による早期膿胸腔郭清術と胸腔ドレナージを行い速やかな改善を得た. 1例では胸腔ドレーンよりのUrokinase注入の併用で, ドレナージしえずに遺残したフィブリン塊・血腫は溶解して膿胸は完治した. これらの方法は膿胸の線維素膿性期において侵襲少なく効果が得られ, 膿胸の慢性化を回避する一つの手段になりうると思われたので報告した.
  • 野村 将春, 藤村 政樹, 松田 保, 野々村 昭孝, 北川 正信, 中村 裕行, 高柳 尹立
    1994 年 32 巻 4 号 p. 324-327
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性, 咳嗽, 微熱を主訴として入院した. 胸部X線上, 左肺門部に腫瘤状陰影を認め, 気管支鏡下の生検にて肺小細胞癌と診断された. 自然経過にて観察したところ腫瘍は消失した.
  • 安東 優, 宮崎 英士, 松本 哲郎, 杉崎 勝教, 吉松 哲之, 水城 まさみ, 津田 富康
    1994 年 32 巻 4 号 p. 328-333
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性. 昭和63年頃より咳嗽, 息切れが出現し, 平成4年4月, 息切れの増強のため当科初診. 経気管支肺生検にて非乾酪性肉芽腫を認め, サルコイドーシスと診断した. 低酸素血症, 軽度閉塞性換気障害を認め, 胸部X線では肺門部の浸潤影と血管陰影の不鮮明化が認められた. 胸部CTでは著明な中枢側血管気管支周囲肥厚を認めたが, 肺野に明らかな線維化は認めなかった. 肺換気シンチは正常で, 肺血流シンチでは, 右上中葉, 左舌区を中心に広範な還流欠損を認めた. ステロイド治療後の胸部CTでは陰影の著明な改善が得られたが, 肺血流シンチ上の還流欠損は残存し, 肺動脈造影では, 区域枝, 亜区域枝レベルの肺動脈の狭小化, 途絶が認められた. 本症例のごとき胸部CT所見を呈するサルコイドーシスの治療, 予後を考慮する場合, 肺血流障害の評価が重要であると考えられた.
  • 鈴木 和恵, 立花 昭生, 畠山 忍, 岡野 弘, 岡 輝明
    1994 年 32 巻 4 号 p. 334-338
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    両側大量胸水を伴う肺クリプトコックス症の症例を報告する. 症例は86歳男性で, 呼吸困難, 発熱, 胸部圧迫感を主訴に入院した. 胸部X線上, 両側に大量胸水, 混合型肺炎と思われる所見を認めた. 生前は診断がつかず, 約1ヵ月後に呼吸困難にて死亡した. 剖検所見では胸膜にクリプトコックスの増殖がみられ, 肺炎部位には少量のクリプトコックスが認められた. 両側胸水を伴う肺クリプトコックス症は極めて稀であり, 診断も困難であった.
  • 五十嵐 知文, 中川 晃, 吉田 豊, 西山 薫, 阿部 庄作
    1994 年 32 巻 4 号 p. 339-343
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    胸部単純像で腫瘤状陰影および血清CEAの高値を示し, TBLBで診断した原発性肺クリプトコッカス症の1例を報告した. 症例は43歳, 男性. 胸部異常影で当科を紹介された. 初診時の血清CEA値が7.0ng/mlと高値を示したが, 病状の軽快とともに0.8ng/mlに低下したこと, 免疫染色で肺胞表層に陽性結果を認めたこと, 消化管等に所見のないことなどから, クリプトコッカス症の肺病変が血清CEA値の上昇に関与していたものと考えた. 肺クリプトコッカス症は肺癌と鑑別困難な陰影を呈することが知られている. 本例でも, 画像所見, CEA高値のため肺癌との鑑別が問題となったが, TBLBで確診しえ保存的治療を選択できた. 積極的に気管支鏡下に生検を行い, 組織診を得るよう試みるべきである. Fluconazole は本症に有用性を期待し得る.
  • 豊嶋 幹生, 佐藤 篤彦, 谷口 正実, 妹川 史朗, 中澤 浩二, 早川 啓史, 千田 金吾
    1994 年 32 巻 4 号 p. 344-347
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は41歳男性, 製薬会社勤務. 農薬ブラストサイジンSの結晶粉砕作業数時間後より下痢, 数日後より咳漱, 呼吸困難, 発熱が出現した. 胸部X線上, びまん性スリガラス状陰影, 斑状影, 胸部高分解能CTにてびまん性の肺野濃度の上昇を認め, 血液ガス分析にて著明な低酸素血症を認めた. BALにて総細胞数, リンパ球, 好中球, 好酸球の増加, CD4/8 比の上昇を認めた. 入院後ミノサイクリンを投与するも陰影は増悪, ステロイドパルス療法および後療法にて陰影を残さず軽快した. ブラストサイジンSは稲のイモチ病に用いられる抗生物質系農薬であり, 吸入した場合に間質性肺炎を起こすことが報告されている. 急性間質性肺炎の原因として本剤も念頭に置くべきと考えられる.
  • 足立 規子, 太田 勝康, 根来 伸夫, 栗原 直嗣, 武田 忠直
    1994 年 32 巻 4 号 p. 348-352
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性. 紅皮症に対するステロイド治療中に細菌性髄膜炎を発症. 同時期より呼吸不全状態となり, 胸部X線上両肺野にスリガラス陰影を認めたため, 気管支肺胞洗浄 (BAL) 法を施行したところ糞線虫を認めた. さらに, Polymerase chain reaction (PCR) 法を用いたBAL液の検討にてカリニDNAの増幅をも認めたことより, 肺糞線虫症に加えてニューモシスチス・カリニ肺炎 (カリニ肺炎) も合併していると診断した. 当患者に免疫不全の他の原因を検索したところ, ATLA抗体は陰性ながら末梢血細胞中の成人T細胞白血病 (ATL) ウイルスの挿入及びモノクローナルなど増殖が証明された. 以上のことより, 当患者はATLの発症早期の病態であったことも判明した. BAL液中に糞線虫及びカリニDNAの増幅を認めたATLの1症例を経験し, 特にカリニ肺炎の診断においてPCR法が有用となりうると考えられたので報告した.
  • 古川 明, 塩出 昌弘, 大蔵 降文, 茎田 仁志
    1994 年 32 巻 4 号 p. 353-357
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 男性. 主訴は発熱, 咳嗽, 喀痰. 1984年より頻回の肺炎を繰り返していた. 今回1988年11月初旬より発熱, 咳嗽, 喀痰があり, 紹介入院した. 胸部X線写真で左下肺野に浸潤陰影を伴った腫瘤状陰影を認めた. 気管支鏡検査で左B9入口部を閉塞する表面平滑な腫瘤を認めた. 組織診断で悪性所見はなかったが, 肺炎を繰り返していたため, 同年12月に左下葉切除術を行った. 摘出標本では直径18mmの弾性硬の腫瘤が認められ, 亜区域支より中枢側にポリープ状に発育していた. 組織診断では平滑筋腫であり, S8~10は壊死を伴った器質化肺炎像を呈していた. 肺の良性腫瘍は稀なものであり, なかでも平滑筋腫はきわめて稀なものである. 本邦において我々の検索し得た範囲内では, 65例が報告されているにすぎない. 今回我々は区域気管支に発生し, 閉塞性肺炎を繰り返した平滑筋腫の1例を経験したので報告する.
  • 鈴木 勇, 渡部 直巳, 鈴木 潤一, 山口 悦郎, 棟方 充, 川上 義和, 藤田 美悧
    1994 年 32 巻 4 号 p. 358-363
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎 (UC) の既往をもつHAM (HTLV-1 associated myelopathy) 患者に生じた, 中枢気道壁の肥厚を伴う気管支拡張症の1例を経験した. 症例は37歳, 男性. 20歳時に潰瘍性大腸炎と診断され30歳前後に輸血により HTLV-1 に感染したと推測される. 胸部X線写真, 断層写真及びCTにより亜区域気管支の拡張, 気管から亜区域支に及ぶ気道壁の肥厚が認められた. 呼吸機能検査では低酸素血症, 閉塞性の強い混合性換気障害を示した. 神経学的所見及び髄液検査を基にHAMと診断した. 気管分岐部粘膜の生検組織はポリクローナルな HTLV-1 感染細胞を含むT細胞の著しい浸潤を示し, 一部は異型性を示した. 近年 HTLV-1 感染者に生じるATL細胞の浸潤や日和見感染とは異なる呼吸器疾患が報告され, HABA, HAB などの新たな疾患概念が提唱されている. 本例は広い意味でそれらに属し, またUCとの関連も推測される極めて稀な1例である.
  • 後藤 武近, 田中 哲也, 辻本 庄司, 戸田 省吾, 橋倉 博樹, 有本 太一郎, 岩崎 吉伸, 中村 泰三, 中川 雅夫
    1994 年 32 巻 4 号 p. 364-369
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性. 9年前左眼瞼下垂を認め, 眼筋型重症筋無力症と診断された. 今回, 胸部X線写真上, 異常を指摘され精査入院した. 胸部CT写真で, 前縦隔に嚢胞を伴った腫瘤影を認め, 診断確定のため開胸した. 腫瘤は完全摘出され, 組織学的には胸腺腫を伴った胸腺嚢腫であった. 嚢胞穿刺により褐色の混濁した嚢胞液が得られ, 嚢胞液中CEA 61.3ng/ml, SLX 24,000U/ml, CA 1251, 300U/mlと異常高値を示した. これら腫瘍マーカーの血清値はいずれも正常であった. 得られた組織標本で免疫組織学的染色を行ったところ SLX のみ嚢胞壁上皮細胞に陽性所見を示し, 嚢胞壁よりの産生が示唆された. 過去の嚢胞液腫瘍マーカー高値を示した胸腺嚢腫の報告例の検討からは, 異常高値をとる機序としては, 嚢胞壁上皮細胞よりの過剰産生よりはむしろ嚢胞壁内での濃縮によると考えられた. また胸腺腫と胸腺嚢腫の合併例も極めて稀であり, 興味深い症例と考えられた.
  • 浅岡 峰雄, 大浜 仁也, 天野 博史, 久原 肇
    1994 年 32 巻 4 号 p. 370-372
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    患者は72歳の女性. 全身倦怠感と体重減少を主訴に来院した. 巨大な胸腔内腫瘍を発見し, 精査を行ったが組織確定診断はっかなかった. その後低血糖による昏睡のため緊急入院となり内分泌学的な検索も行ったが異常は見出せなかった. 手術では, 右下葉とともに腫瘍を切除した. 腫瘍は肺臓側胸膜から発生し肺を圧排するように増殖していた. 手術後は低血糖発作は消失した. 病理学的診断は localized fibrous tumor of pleura であった.
  • 吉富 淳, 佐藤 篤彦, 妹川 史朗, 菅沼 秀基, 田村 亨治, 須田 隆文, 八木 健, 岩田 政敏, 早川 啓史, 千田 金吾
    1994 年 32 巻 4 号 p. 373-377
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    子宮筋腫に伴う肺平滑筋腫, いわゆる良性転移性肺平滑筋腫の1例を経験したので報告した. 症例は44歳の女性で, 月経過多と下腹部痛を主訴に当院産婦人科を受診し, 径15cmを最大とする多発性子宮筋腫を疑われ, 子宮全摘術を施行された. 子宮の腫瘤は典型的な子宮筋腫で, 病理組織学的に核の異型性や核分裂像などの平滑筋肉腫を疑わせる所見は認めなかった. 胸部X線写真で径8mmの孤立性円形陰影が発見されたため当科紹介となった. 開胸肺生検を施行したところ, 肺腫瘤は子宮筋腫と同一の, よく分化した平滑筋腫であった. 子宮筋腫に伴う肺平滑筋腫の解釈に関しては, (1) 子宮筋腫の肺転移, (2) 低悪性度の子宮平滑筋肉腫の肺転移, (3) 多発性平滑筋腫症, (4) 偶然の合併, と未だ一致した見解が得られていないのが現状であり, 症例の蓄積と検討が必要である. 本症例は核分裂像を指摘できないこと, 肺病変が単発性であることから (4) が妥当と考えられた.
  • 田中 直彦, 小林 弘祐, 三藤 久, 佐藤 哲也, 小倉 建夫, 高田 信和, 阿部 直, 冨田 友幸
    1994 年 32 巻 4 号 p. 378-381
    発行日: 1994/04/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性.経皮的に非ステロイド性抗炎症剤 (NSAID)「ケトプロフェン」を全身に塗布し約3時間後に重篤な喘息発作を発症し緊急入院した. 患者は, 以前セデスG®内服後約20分で喘息発作を起こした既往があり, アスピリン喘息と診断されており, 他院で喘息の通院治療を受けていた. 本例において以前のNSAID内服後の発作は, 服用後約20分後に起こっているのに対して今回の発作はNSAID塗布から発症まで約3時間を要しており, 発作までに要する時間の違いは吸収経路の違いを反映していると考えられた. また, 喘息発作の重症度は, 吸収されたNSAIDの量に関係しているものと思われた.
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