1994 年 32 巻 5 号 p. 485-490
柴朴湯による薬剤性肺臓炎の1症例を報告した. 症例は60歳の女性で, 平成4年10月12日外来にて柴朴湯を投与され一包内服したところ, 約2時間後に悪寒, 呼吸困難が出現したため, 翌10月13日外来を受診, 著明な低酸素血症と胸部X線写真上両肺野にすりガラス様陰影を認めたため, 急性間質性肺炎を疑い, ステロイドパルス療法を施行し軽快した. その後, 成分が柴朴湯と近似した煎じ薬を3日間服用したところ, 再び発熱・呼吸困難が出現し, 胸部X線写真上も両肺野にすりガラス様陰影を認めた. 再びステロイドパルス療法を施行し軽快した. 薬剤によるリンパ球刺激試験および皮膚貼布試験では, 柴朴湯に対して陽性を示し, 経過とあわせ, 柴朴湯による薬剤性肺臓炎と診断した.