日本胸部疾患学会雑誌
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慢性喘息発作に対するステロイド剤の効果: ピークフロー値の日内変動パターンに注目して
福岡 淳一
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1994 年 32 巻 8 号 p. 731-738

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抄録

40例の成人慢性喘息患者で, ステロイド剤の効果を1日4回のピークフロー値 (PEF) より retrospective に検討した. PEFの週平均値では personal best PEF に対して週平均値が60%未満が19例, 60%以上70%未満が15例, 70%以上80%未満が2例, 80%以上は4例であった. 十分量のステロイド剤投与後は全例良好な反応を示した (x2=61.6, p<0.001). PEFの日内変動では4点測定法により早朝発作と夜間発作を分離して検討できた. 早朝発作のみが22例, 早朝発作と夜間発作合併例が10例, 夜間発作のみは認めなかった. ステロイド剤投与後では夜間発作は全例で消失したが, 早朝発作は5例が残存した. ステロイド剤とβ2刺激剤の反応性から, 早朝発作と夜間発作が異なった病態を反映している可能性が示され, 喘息病態の解明には早朝発作と夜間発作を対比して検討する必要があると考えた.

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