日本胸部疾患学会雑誌
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BALFとCTの解析が診断に有用であったBOOPの1例
百道 敏久吉井 千春二階堂 義彦横崎 恭之永田 忍彦中田 肇城戸 優光
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1994 年 32 巻 8 号 p. 768-773

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抄録

症例は54歳, 女性. 労作時呼吸困難を主訴とし, 健診時の胸部X線写真で両側下肺野の線状, 網状影を指摘され, 精査のため当科に入院した. 肺機能検査では拘束性換気障害と拡散能の低下を, 胸部CT写真では両側下肺野背側に径の大きさが小さく揃った小嚢胞状変化を伴う境界不明瞭で不均一な濃度上昇域と air bronchogram および air bronchiologram を, TBLBでは肺胞隔壁の肥厚と単核細胞浸潤と肺胞内の器質化滲出物を, BALFでは総細胞数の増加, リンパ球分画の著明な増加, OKT4+/OKT8+の低下を認めた. このことよりIPFよりもBOOPの可能性が高いと考え, 開胸肺生検を施行し, ポリープ様肉芽を伴った閉塞性細気管支炎, 単核細胞の浸潤を伴った肺胞隔壁の肥厚, 器質化肺炎を認めた. 以上よりBOOPと診断し, prednisolone を投与し軽快した. IPFとの鑑別が困難であったが, BALF所見とCT所見の解析がBOOPの診断に有用であったと考え報告する.

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