1995 年 33 巻 11 号 p. 1288-1292
症例は43歳, 男性, 胸痛を主訴に来院した. 右胸水, びまん性の胸膜肥厚を認め, 胸膜生検で悪性胸膜中皮腫と診断した. 右肺・胸膜全摘術を施行, 手術標本を光顕的・電顕的に検討, 腫瘍細胞は大部分肉腫様であったが一部に上皮様細胞を認めた. また腫瘍内に線維性成分を50%以上認め Desmoplastic malignant mesothelioma (混合型) と診断した. 術後早期に転移を来たし術後約2ヵ月で死亡した. 剖検肺内の含鉄 (石綿) 小体数を溶解法にて計測, 職業性石綿曝露を証明した.