1995 年 33 巻 11 号 p. 1293-1296
症例は健康な17歳~21歳の男女3例で, 突然の胸痛や呼吸困難で発症した. 全例全身状態良好であり, 外来受診時頸部に皮下気腫が認められたため入院となった. 胸部X線, 胸部CTでは皮下気腫と縦隔気腫が認められたものの, その他には病変は認められず喘鳴なども聴取されなかった. また耳鼻科的検索や上部消化管の精査を行ったが異常なく, 特発性縦隔気腫と考えられた. 全例とも安静にて経過をみたところ, 7日~9日程で症状は消失し, X線上も皮下気腫, 縦隔気腫ともに消失した. 3例の中で1例は20ヵ月後に再発した. 特発性縦隔気腫の本邦報告例は少なく, 特に再発した例は稀である. 今回我々は, 再発した1例を含む特発性縦隔気腫の3例を経験したので,文献的考察を含め報告する.