日本胸部疾患学会雑誌
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副鼻腔気管支症候群の臨床所見と粘液線毛輸送能に対するクラリスロマイシンの効果
西 耕一水口 雅之橘 秀樹大家 他喜雄雨宮 徳直明 茂治藤村 政樹松田 保
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1995 年 33 巻 12 号 p. 1392-1400

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抄録

副鼻腔気管支症候群 (SBS) 患者32名において, 粘液線毛輪送能 (MCT) の指標としてサッカリンテストによる鼻クリアランス時間 (NCT) を評価し, このNCTと臨床所見に対するクラリスロマイシン (CAM) の効果を検討した. SBS患者では, CAM投与前のNCTが平均70.3分と対照のNCT11.9分に比べ有意に延長しており, MCTが障害されていることが示唆された. そして, CAM400mg/日の4週間投与後に, SBS患者のNCTは平均30.4分と有意に改善し, 対照と有意な差は認めなくなった. 喀痰の細菌学的検査では, 32名中15名から病原菌が検出され, CAM投与にて12名の喀痰から菌の消失が認められた. 臨床所見では, 呼吸器症状の改善, FEV1の増加, 血清寒冷凝集素価の低下, および血清IgA値の減少を認めた. 以上から, CAMはEMと同様にSBS患者のMCTならびに臨床所見を改善し, 臨床的に有用であることが示唆された.

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