副鼻腔気管支症候群 (SBS) 患者32名において, 粘液線毛輪送能 (MCT) の指標としてサッカリンテストによる鼻クリアランス時間 (NCT) を評価し, このNCTと臨床所見に対するクラリスロマイシン (CAM) の効果を検討した. SBS患者では, CAM投与前のNCTが平均70.3分と対照のNCT11.9分に比べ有意に延長しており, MCTが障害されていることが示唆された. そして, CAM400mg/日の4週間投与後に, SBS患者のNCTは平均30.4分と有意に改善し, 対照と有意な差は認めなくなった. 喀痰の細菌学的検査では, 32名中15名から病原菌が検出され, CAM投与にて12名の喀痰から菌の消失が認められた. 臨床所見では, 呼吸器症状の改善, FEV1の増加, 血清寒冷凝集素価の低下, および血清IgA値の減少を認めた. 以上から, CAMはEMと同様にSBS患者のMCTならびに臨床所見を改善し, 臨床的に有用であることが示唆された.