日本胸部疾患学会雑誌
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エトポシド, ステロイド併用療法が著効を示した菌状息肉症肺病変の1例
南須原 康行小林 秀一棟方 充川上 義和藤田 美悧
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1995 年 33 巻 9 号 p. 1013-1018

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抄録
症例は75歳の男性. 菌状息肉症の皮膚病変の治療経過中に咳嗽, 血痰が出現するようになり当科を受診. 胸部X線写真にて広範囲に結節影, 粒状・網状影が認められ, 経気管支肺生検にて菌状息肉症の肺病変と診断した. 当初, 悪性リンパ腫に準じてVEPA療法を行ったが皮膚病変が増悪し, 更に細菌性肺炎, 十二指腸潰瘍を併発した. 全身状態回復後, 少量エトポシド, プレドニゾロンの併用療法を施行したところ, 皮膚・肺病変ともに著明な改善を示し, その効果はエトポシド少量内服療法に移行した後も長期間継続した. 一般に肺病変を伴った菌状息肉症の予後は不良とされているが, 本症例では, 少量エトポシド, ステロイド併用療法にて長時間コントロール可能であり, 肺などの内臓病変をきたした進行期の菌状息肉症に対して, 考慮すべき治療法の一つと考えられる.
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