日本泌尿器科学会雑誌
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原著
泌尿器科医の関与した排尿ケアの臨床的検討
辻本 裕一谷 優山道 岳辻村 剛中田 渡任 幹夫辻畑 正雄
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キーワード: 排尿ケア, 排尿自立指導
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2019 年 110 巻 3 号 p. 185-190

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抄録

(目的) 2016年11月から2018年6月までに包括的排尿ケアを行った207例(泌尿器科112例,他科95例)の臨床的検討を行った.

(対象と方法) 年齢は27から94歳(平均73),男性170例,女性37例,BMIは11.6から43.7(平均23.3),生活自立度(J/A/B/C)は132/23/28/24例,既往歴は糖尿病ありが47例,脳神経疾患ありが36例,尿閉ありが25例,入院時にバルーンカテーテル留置ありが17例,緊急入院が53例,入院時に手術予定ありが174例であった.

(結果) 泌尿器科112例はロボット支援下前立腺全摘除術が60例,経尿道的前立腺切除術とホルミニウムレーザー前立腺核出術が36例,その他が16例であった.1年後のパッドフリー(パッドフリーはパッド1枚以下/日と定義)率は92%,カテーテルフリー率は93%であった.他科95例の1年後のカテーテルフリー率は66%,1人を除いて全て100日以内であった.またカテーテルフリーの症例と自己導尿の手技を習得した排尿自立については1年で91%であった.多変量解析ではカテーテルフリーに関しては下部尿路機能4以下が,排尿自立に関しては排尿自立度(4以下)が有意に独立した良好な因子であった.

(結論) カテーテルフリーや排尿自立を目指すには包括的な排尿ケアが重要であることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本泌尿器科学会
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