我々は肺内過誤腫について, 特に各種臓器腫瘍合併例を中心に臨床病理学的検討を行った. 1975年から1994年までの20年間に東海大学病理学部門で肺内過誤腫と診断された症例は22例であった. 性別は男性12, 女性10例で, 年齢は20歳から72歳までの各年齢層にわたり, 50歳代が9例と最多であった. 大きさは, 5mm~3cmであった. 病理組織学的には, 気管支軟骨を伴う典型例が20例あり, 1例は脂肪腫様, 他1例は平滑筋腫様の組織像を呈した. 22例中, 各種臓器腫瘍合併例は6例 (27%) であり, その内訳は, 肺癌3, 大腸癌1, 甲状腺癌1, 縦隔腫瘍1であった. 診断に際して肺内転移との鑑別を要し, その診断には胸腔鏡下肺生検術が有用であった. また, 平滑筋腫様の組織像を呈した1例は, いわゆる良性肺内転移性平滑筋腫との鑑別に際し, その増殖能の判定にPCNAの免疫染色が有用であった.