日本胸部疾患学会雑誌
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原発不明扁平上皮癌縦隔リンパ節転移の1例
淀縄 聡三井 清文赤荻 栄一鬼塚 正孝石川 成美佐藤 幸夫木下 朋雄三井 利夫
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1996 年 34 巻 12 号 p. 1364-1368

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抄録
縦隔リンパ節転移のみを認めた原発不明扁平上皮癌の1例を経験した. 患者は65歳女性. 胸部異常陰影を指摘され, 精査により縦隔リンパ節腫大を認めた. 縦隔鏡下リンパ節生検を施行し, 扁平上皮癌と診断された. 全身検索行うも原発巣不明のため, 開胸下に腫瘤を完全摘除し, 縦隔リンパ節郭清を行った. 病理学的診断は扁平上皮癌の縦隔リンパ節転移であった. 縦隔, 鎖骨上に術後照射 (61.2Gy) を行った後, 軽快退院となり, 術後1年の現在再発を認めず, また原発巣もいまだ不明である. 肺門, 縦隔リンパ節転移のみを認めた原発不明癌は本邦では6例の報告を認めるのみである. 肺癌取扱い規約でいうT0肺癌の可能性も考えられるが, 今後も全身検索を含めた厳重な経過観察が必要と思われる.
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