1996 年 34 巻 6 号 p. 621-626
縦隔リンパ節の著明な腫大をきたした結核性縦隔リンパ節炎 (TML) 3例を報告した. 3例の臨床経過はそれぞれ異なり, 症例1は頸部リンパ節および気管への浸潤を伴い, 症例2は抗結核剤の投与開始3ヵ月後に出現, また症例3は肺内病巣を伴っておそらく初感染と思われる形式で出現した. これらの発症様式について考察した. TMLの腫大リンパ節は右傍気管リンパ節であるのが特徴で, その非侵襲的診断には造影CT所見が有用であり, 中心部の乾酪壊死巣に一致する低濃度領域と不規則に enhance される周辺部の存在が所見として重要であった. 確定診断には縦隔鏡と気管支鏡が有用であり, 3例ともこれらの内視鏡検査により結核菌が検出された. 思春期, ないし若年成人でツ反陽性, 右縦隔リンパ節腫大を認める場合, TMLの可能性を積極的に疑う必要があるが, 中高年の場合を含めて縦隔腫瘍との鑑別が必要である.