日本胸部疾患学会雑誌
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好酸球過分葉・接着分子発現亢進を認めたアレルギー性肉芽腫性血管炎の1症例
沢口 博千代田中 明茆原 順一長坂 行雄中島 重徳
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1996 年 34 巻 6 号 p. 694-699

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抄録

症例は43歳男性. 平成5年4月頃より夜間の発作性咳嗽が出現し, 平成6年4月増悪した. 気管支喘息として治療され一旦改善していた. 同年10月頃より労作時の息切れが次第に増悪, 胸部X線像上右上肺野に浸潤影の出現をみた. 同11月の入院直前より両足底部に紅斑が出現した. 肺野浸潤影は消退したが両側胸水貯留を認めた. 咳嗽は更に増悪し心筋炎も発症, 末梢血中好酸球増加および胸水中, 骨髄中好酸球増加と過分葉を認めた. 足底部位紅斑生検で血管外肉芽腫と好酸球浸潤がありアレルギー性肉芽腫性血管炎 (AGA) と診断し, ステロイド治療を開始した. 治療により諸症状は速やかな改善を示した為, AGAに起因すると考えた. 又, 末梢血中好酸球の接着分子発現の亢進が認められ, 過分葉とともに患者の好酸球が免疫学的活性状態にあったと結論した.

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