日本胸部疾患学会雑誌
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経過中に抗好中球細胞質抗体陽性の半月体形成性糸球体腎炎を発症した問質性肺炎の1例
松山 航是枝 快房水野 圭子溝口 亮岩見 文行納 光弘
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1997 年 35 巻 5 号 p. 555-560

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抄録

症例は72歳男性. 10年前に間質性肺炎を指摘, 無治療で経過観察されていたが1995年5月9日発熱, 右側腹部痛を主訴に当院入院. 炎症所見, LDHの上昇を認め, CT画像上両側下肺野の honeycomb 様の変化と経気管支肺生検にてII型肺胞上皮の肥大と間質の線維化を認めた. 抗好中球細胞質抗体 (P-ANCA) が869EUと上昇しており, 尿潜血強陽性, 24時間クレアチニンクリアランスが40.3ml/minと腎機能障害を認め, 腎生検にて半月体形成性糸球体腎炎を認めた. 組織学的に血管炎の所見は得られなかったがP-ANCA関連糸球体腎炎及び間質性肺炎と診断し副腎皮質ステロイド剤を投与し炎症所見の改善を得た. P-ANCA関連糸球体腎炎の予後は悪いため, 特発性間質性肺炎と考えられ長期経過観察されている例にも, P-ANCA関連糸球体腎炎が発症する可能性があるので注意が必要と考えられた.

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