日本胸部疾患学会雑誌
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エトポシドを含む併用化学療法治療後に急性単球性白血病を発症した肺小細胞癌の1例
玉田 勉木村 啓二田畑 雅央石森 章太郎円谷 智夫林 雅人
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1997 年 35 巻 5 号 p. 577-582

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抄録

症例は61歳女性. 平成7年3月に右上葉原発肺小細胞癌 (cT4N3M0, Stage IIIB) を発症, 原発巣と縦隔に対して放射線療法と, カルボプラチン, エトポシドを用いた全身化学療法を施行し, 腫瘍は著明に縮小した. その後放射線肺臓炎を発症したがステロイド治療により軽快した. 約9ヵ月後急性単球性白血病 (M5a) を発症し, 化学療法を施行したが無効で, 平成8年3月多臓器不全で死亡した. 本症例では染色体分析ができなかったが, エトポシドを含む併用化学療法が行なわれていること, 白血病発症までの期間が約9ヵ月で骨髄異形成症候群を経ずに発症していること, 芽球が単球様の形態をとることより, エトポシドによる二次性白血病と考えられた. 肺癌に対してエトポシドを使用する機会は増えており, それによる二次性白血病の可能性を考慮し, 化学療法後も慎重な経過観察が必要と考えられる.

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