日本胸部疾患学会雑誌
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血清CEA, CA19-9, SLXが高値を示した肺葉内肺分画症の1例
石井 寛迎 寛飯干 宏俊谷口 治子芦谷 淳一増本 英男松倉 茂市成 秀樹松崎 泰憲門田 淳一
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1997 年 35 巻 9 号 p. 1029-1033

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抄録

症例は20歳の女性. 検診の胸部X線で, 右心・横隔膜角部に腫瘤陰影を指摘され, 当科に紹介入院となった. 入院時検査にて血清中CEAが6.2ng/ml, CA19-9が539.1U/ml, SLXが53U/mlと高値であったが, 腫瘤陰影は胸部CTにおいて嚢胞性腫瘤であり, また血管造影にて腹腔動脈直上の大動脈から下横隔膜動脈と共通幹で分岐する腫瘤への異常動脈が確認され, 肺分画症と診断された. 手術により肺葉内肺分画症であることが確認され, 右下葉切除術を施行した. 嚢胞内容液ではCA19-9をはじめとする各種腫瘍マーカーが著明に上昇していた. 免疫組織染色では, 分画肺の嚢胞壁上皮において, CA19-9, SLX, CEAの発現を認めた. 血清中腫瘍マーカー値は, 術後にほぼ正常値まで低下した.

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