1997 年 35 巻 9 号 p. 942-947
特発性肺線維症 (IPF) および急性呼吸促迫症候群 (ARDS) における血清中の各種可溶性接着分子について検討した. 血清可溶性 intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1) 値, vascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1) 値, E-selectin 値および P-selectin 値はIPFおよびARDSの両群でいずれも健常者より高値であった. IPFでは血清可溶性ICAM-1値と%肺活量との間に逆相関が認められた. 一方, ARDSの血清可溶性 L-selectin 値は健常者およびIPFに比較して有意に低値であった. IPFおよびARDSにおいてこれら可溶性接着分子が, 病態, 重症度や予後に関与している可能性が推測された.