1997 年 35 巻 9 号 p. 948-953
びまん性汎細気管支炎 (DPB) に対するエリスロマイシン (EM) 治療終了の適応を考える目的で, 何らかの理由でEM治療が中止されたDPB9例の臨床像を中止後の非悪化例と再悪化例とで比較検討した. 9例中EM中止後の非悪化例は5例, 再悪化例は4例であった. 非悪化例は再悪化例と比較して喀痰出現からEM治療開始までの期間が短く, 治療開始時での喀痰量, 血液ガス, 画像上気管支拡張像などの病態の進行程度も軽度で, さらにEM中止時には喀痰がほぼ完全に消失するなどEM治療の効果が充分に得られていた. 一方, 再悪化例では症状出現から治療開始までの期間が長く, 治療開始時での喀痰量が多く気管支拡張像が顕著であるなど病態の進行が高度で, かつEM中止時に喀痰が中等量残存していた. 以上から治療開始時での病態の進行が高度でなくEM治療により喀痰の消失に代表される臨床症状の充分な改善が得られたDPB症例では, EM治療の終了を考慮できる可能性があると考えられた.