日本臨床外科学会雑誌
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症例
24年間の経過をたどり巨大嚢胞を形成した甲状腺乳頭癌の1例
野口 卓郎高橋 弘昌高橋 将人細田 充主佐々木 彩実藤堂 省
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キーワード: 甲状腺乳頭癌, 巨大嚢胞
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2007 年 68 巻 1 号 p. 27-30

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抄録

症例は70歳, 男性. 1982年, 前頸部に約11×6cm大の腫瘤を認め, 当科を初診し, 針生検にて甲状腺乳頭癌, T3N3M0 (現取扱い規約上T4aN1bM0) と診断された. 術後の永久気管瘻がほぼ不可避との説明を受け, 手術を拒否し, 以降外来を受診していなかった. 2006年4月, 前頸部に突出する皮下腫瘤からの淡血性液の噴出を認め, 当科を受診し即日入院となった. 全身状態は良好であり, 直ちに腫瘤穿刺により嚢胞液500mlを吸引したが, 翌日には元の大きさに戻り緊急手術の方針となった. 甲状腺峡部から左葉にかけて約11×15cm大の嚢胞性腫瘤を認め, 皮下にも進展していた. 可及的に気管浸潤部を剥離し甲状腺峡部左葉切除術施行した. 術後, 嗄声, 誤飲なく経過は良好で, 第7病日に頸部ドレーン抜去後, 滲出液等貯留なく, 第12病日に退院となった. 24年間の自然経過により巨大嚢胞を形成した甲状腺乳頭癌の1切除例を経験したので報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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