日本臨床外科学会雑誌
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症例
線毛円柱上皮よりなる胃重複症の1例
桐山 茂久谷 眞至勝田 将裕岩橋 誠中村 公紀山上 裕機
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キーワード: 胃重複症
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2007 年 68 巻 1 号 p. 58-61

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抄録

症例は38歳, 男性. 食物通過障害を主訴に近医を受診したところ上腹部嚢胞性病変を指摘されたため, 精査加療目的にて当科紹介となった. 腹部CTでは胃噴門部に5.5cmの嚢胞性病変を認めた. 食物通過障害があり, 血清CA19-9が367.8U/mlと高値を示したため, 胃噴門部の消化管重複症の診断で下部食道・噴門側胃切除術, 空腸間置再建を施行した. 病理組織学的検査所見で胃病変は線毛円柱上皮で被覆され外側に筋層を伴う嚢胞であり, 胃重複症と診断した. 悪性化の所見はなかった. 消化管重複症は稀な疾患であり, 組織学的にも発生学的にも多彩であるといわれている. 今回われわれが経験した胃嚢胞性病変は通常の消化管粘膜ではない線毛円柱上皮で覆われており, いわゆる前腸嚢胞と考えられ, 消化管重複症の原因が原始前腸の分離異常や呼吸器原基の迷入によるものであることを示唆する1例と考えられた.

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© 2007 日本臨床外科学会
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