2007 年 68 巻 10 号 p. 2437-2441
乳頭異常分泌を呈する乳管内乳頭腫に対する乳管内視鏡下生検の有用性について検討した. 対象は1999年1月から2006年12月までに順天堂大学浦安病院外科で乳管内視鏡を施行し乳管内乳頭腫の診断を得た73例である. 乳管内視鏡下切除で腫瘤を生検し細胞・病理組織学的診断を得たのは56例であった. 乳頭腫の局在部位では主乳管, および第1分枝までの乳頭から距離の近い乳管では切除率は高率であったが, 第2分枝以降の乳管では切除率は低下した. 全切除可能であった56例中37例では乳頭異常分泌は改善した. 乳管内視鏡下切除は診断に十分な検体量を非手術的に得られ, さらに乳頭異常分泌の改善も認めることから治療にも有用と考えた.