日本臨床外科学会雑誌
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症例
胎児期発症と考えられた腸回転異常を伴わない小腸捻転症の1例
鈴木 俊裕篠原 剛加藤 岳人鈴木 正臣柴田 佳久平松 和洋
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キーワード: 小腸捻転症, 胎児期発症
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2007 年 68 巻 10 号 p. 2522-2525

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抄録

腸回転異常や器質的な異常を伴わない小腸捻転症は稀であり, 術前診断は困難である. 今回, 胎児期発症と考えられた腸回転異常を伴わない小腸捻転症の1例を経験したので報告する. 症例は在胎33週2日, 胎児心拍モニターにて胎児心音の低下が認められたため, 緊急帝王切開により2,062gで出生した. Apgar score2点 (1分) であったため直ちに気管内挿管による蘇生処置が施された. 出生直後より腹部膨満が極めて強く, 腹部超音波検査およびCT検査にて著明に拡張した腸管が認められた. 急性腹症の診断にて緊急開腹術を施行したところ, Treitz靱帯より60cm肛門側から40cmにわたり小腸が540度時計方向に捻転しており, 壊死していた. 壊死腸管を切除し一期的に腸吻合を行った. 術後経過は良好で術後20日目に退院となった.

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© 2007 日本臨床外科学会
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