2007 年 68 巻 10 号 p. 2647-2650
直腸癌, 腎癌後術に発生した胃腺扁平上皮癌の1例を経験した. 症例は71歳の男性. スクリーニングの上部消化管内視鏡で胃体上部小彎から胃角部にかけて3型の腫瘍を認め, 術前の生検では低分化腺癌, 印環細胞癌が認められた. 胃全摘を施行した. 切除標本では体上部から前庭部にかけて60×55mm大の3型腫瘍を認めた. 組織学的検索では扁平上皮癌と中分化から低分化の腺癌の部分が混在し, 腺扁平上皮癌と診断した. 進行度はStage IIIB (T3 N2 P0 H0 M0 CY0) であった. 膀胱癌の治療後に術後補助化学療法を行ったものの術後6カ月で再発を認め, 術後8カ月で癌死し, 予後不良であった. 本症例は胃腺扁平上皮癌に直腸癌, 腎癌, 膀胱癌を合併しており, 比較的稀と考えられた.