日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸脂肪腫嵌頓により発症した大腸癌腸閉塞の1例
古川 公之池田 宏国木川 雄一郎仲本 嘉彦小縣 正明山本 満雄
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キーワード: 大腸脂肪腫, 大腸癌, 腸閉塞
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2827-2830

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抄録

症例は腹痛と発熱を主訴として来院した73歳, 女性. 右下腹部に強い腹膜刺激症状を認め, 血液検査でCRP, WBCの上昇を認めた. 腹部単純X線写真で広範囲の小腸拡張像, CT検査で上行結腸に限局的な全周性壁肥厚とその中央に脂肪のdensityを示す部分を認めた. 大腸脂肪腫嵌頓による大腸癌腸閉塞および消化管穿孔併発を疑い緊急手術を行った. 開腹にて上行結腸癌による腸閉塞ならびに腹膜播種病変, 回腸末端の小穿孔を認め, 回腸穿孔部を含めた右結腸切除を施行した. 切除標本の検索では上行結腸癌による狭窄部に, その近傍に生じた大腸脂肪腫が嵌頓していた. 病理組織検査では上行結腸に漿膜浸潤を伴う高分化型腺癌とその近傍に併発した異型性のない粘膜下脂肪腫と診断された. 以上, 大腸脂肪腫嵌頓により発症した大腸癌腸閉塞の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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