日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原著
留置肝動注カテーテルに起因すると考えられる脳血管障害
坂本 裕彦網倉 克己田中 洋一西村 洋治川島 吉之八岡 利昌
著者情報
キーワード: 肝動注, 脳血管障害
ジャーナル フリー

2007 年 68 巻 3 号 p. 535-539

詳細
抄録

目的・方法 : 肝動注の合併症である脳血管障害への注意を喚起するために, 肝転移術後に肝動注を行った105例における脳血管障害の合併を検討し報告する. 結果 : 7例 (6.7%) に脳血管障害を認めた. 左小脳梗塞4例, 左視床梗塞2例, 脳橋梗塞2例, TIA2例であった. 全例左鎖骨下動脈穿刺例で, 梗塞部位は椎骨脳底動脈領域であった. 麻痺以外の症状に幻暈, 複視, 左手指の痺れ, 冷感等があった. 脳血管障害例は50~60歳台の比較的若年者が6例であり, 70歳未満では対照群に比して有意に高頻度であった. 結語 : カテーテルによる左椎骨動脈経由の血栓塞栓と推測された. 脳血管障害は頻度の高い合併症であり, 肝動注の適応決定に際し留置する必要がある.

著者関連情報
© 2007 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top