2007 年 68 巻 3 号 p. 740-743
症例は28歳, 男性. 外傷などの既往なく, 約1年前から左第3指の拍動性疼痛と腫脹を自覚し, 整形外科を受診したが, 単純写真上骨や関節に異常なく, 血管外科受診を勧められたため, 当院を受診した. 来院時, 左第3指に軽度うっ血腫脹や連続性血管雑音が認められたほか, 右第3指に比べ指長の短縮が認められた. 血管造影では, 動脈相早期から, 螺旋状の微細な血管が複数認められ, 静脈も描出された. 以上の所見から, 先天性左第3指動静脈奇形と診断した. 治療は外科手術を選択し, 全身麻酔下に異常血管の結紮・切離を行った. 術後拍動性疼痛は消失し, 腫脹も軽減した.
手指のAVMの治療方法には結紮・切離のほか塞栓術など低侵襲の手段があるが合併症や長期成績に関して検討が必要である.